2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22730709
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 真 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (70455046)
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Keywords | ドイツ / 音楽科教育 / スタンダード / コンピテンシー / 音楽科カリキュラム |
Research Abstract |
本年度は、ドイツの音楽科教育における学力の捉え方を明らかにするために、以下のとおり研究を実施した。 1.ドイツの音楽教育学領域における教育スタンダードをめぐる議論について、教育スタンダードが作成された2002年から現在までを対象に整理し、議論の焦点を明らかにした。具体的には、音楽教育学の専門雑誌Diskussion Musikpadagogikから教育スタンダードに関する記事を抽由し、その内容を検討した。その結果、芸術教科の特性上、音楽科教育にスタンダードを全面的に当てはめることに限界があることを見い出しつつも、学校教育の一部を担う教科としてどのようにスタンダード化することが可能なのか模索していることが明らかとなった。その際には、アメリカの事例を検討することを通して、スタンダードの内容の妥当性・現実性、法的に拘束力がないことが引き起こす問題、教育政策のインプリケーションに注意を払うことの必要性、そして改革の可能性そのものを批判的にみることの重要性などを議論しており、これらが教育スタンダード導入に関して教科教授法の中心課題となることを再認識していることが明らかとなった。 2.「スタンダード」や「コンピテンシー」をキーワードとする音楽科教育の構築に向けた取り組みを明らかにするために、ドイツの音楽教育関連協会・学会における教育スタンダードに関する研究を一部集約した。これについては、次年度においても継続的に研究を進める。 3.前年度に引き続き、ドイツの音楽科教科書および指導書の収集を行った。次年度も資料収集を継続する。これらの資料を基に、各州のスタンダードで示された内容を教科書レベルで分析することは、ドイツの音楽科教育におけるスタンダードと教科書の関連性を明らかにする上で今後重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、ドイツの常設文部大臣会議が教育スタンダードを決議した後の、音楽科教育領域における議論については明らかにできている。それらの議論に基づく音楽教育関連協会・学会レベル、および州レベルの取り組みは目下調査中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在調査中である音楽教育関連協会・学会、および州レベルにおけるコンピテンシー・モデルに基づく音楽科教育の構築に関する取り組みを明らかにするとともに、スタンダードで示された内容の扱いについて教科書レベルで調査する。
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