2010 Fiscal Year Annual Research Report
超重症児における感覚受容評価と微細な行動表出との関連に基づいた教育支援方略の検討
Project/Area Number |
22730718
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
菊池 紀彦 三重大学, 教育学部, 准教授 (20442676)
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Keywords | 特別支援教育 / 重度重複障害 / 近赤外光トポグラフィー |
Research Abstract |
本研究の目的は、刺激や働きかけに対する反応が乏しい超重症児を対象に、1)多感覚刺激呈示が覚醒水準の向上・維持に有効であるかを脳血流動態から検討すること、2)教育実践中における脳血流動態と心拍数変動が超重症児の微細な行動表出とどのように関連しているかを明らかにすること、3)教育支援の方略を検討すること、である。今年度は1)について、(1)24chNIRS(ETG-4000)(対象とした超重症児3名)および、(2)2chNIRS (YN-502)(対象とした超重症児3名)を用い、研究協力機関において超重症児の嗅覚受容状態について評価を行った。その結果、(1)については全対象児において嗅覚刺激中に眼窩前頭領域のOxy-Hbの増大(2名は右眼窩前頭領域、1名は左眼窩前頭領域)が認められた。(2)については、3名中1名において右眼窩前頭領域のOxy-Hbの増大が認められた。2名については、明確なOxy-Hbの増大を認めることができなかった。また、(1)および(2)の評価中に対象児の心拍数変動についても同時に計測を行った。その結果、(1)および(2)のOxy-Hbの増大が認められた対象児において、心拍数の上昇が認められた。これらの結果から、Oxy-Hbの増大および心拍数の上昇が認められた対象児については、嗅覚刺激に伴う覚醒水準の上昇と嗅覚情報が高次嗅覚皮質領域にまで伝達されていることが示唆された。これらの結果については、第37回日本重症心身障害学会(徳島)において報告する予定である。なお、今年度は本研究の目的のひとつである3)に関連し、学校教育修了後の超重症児への支援のあり方について報告を行うとともに、本研究費において購入した行動コーディングシステム(ディケイエイチ社製:PTS-113型)を用いて重症児に対するスヌーズレン療育のあり方について報告した。
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