2011 Fiscal Year Annual Research Report
口唇裂口蓋裂児の心理社会的発達についての縦断的研究-養育者との関係性を中心に-
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22730722
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Research Institution | Maebashi Kyoai Gakuen College |
Principal Investigator |
松本 学 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 准教授 (20507959)
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Keywords | 疾患・病気療養 / 親子関係 / 心理的介入 / 縦断的研究 / 口唇裂口蓋裂 |
Research Abstract |
発達のごく早期段階に,口唇裂口蓋裂児がどのような心理社会的発達をたどり,発達にどのような特異性があるのか,またこの特異性によって母子の心的状態や関係性がどのような影響をうけ,それが患児の発達にどのような影響を及ぼしているか,について明らかにするため、出生から1歳までの期間における口唇裂口蓋裂児や母親の心理的特性,児と養育者との関係性,家族環境,養育者・家族のCL/CP経験の意味づけといった多元的な指標を用いた縦断的調査を実施した。研究協力者は,治療のために来院した児母子・家族(口蓋裂群・口唇裂群・口唇口蓋裂群)であった。調査に当たっては病院外来で主治医から本研究の説明を行ない,書面で同意を確認したうえで調査を実施した。調査は自由遊び場面の観察、母親に対する質問紙調査(患児の気質,育児ストレス,母親の抑うつ傾向,母親が家族内外から得られる情緒的なソーシャルサポート)、母親およびその他の家族への面接調査である。調査は、乳児が1-3ヶ月齢、5-7ヶ月齢、11-13ヶ月齢、17-19ヶ月齢の4時点で行われ、2011年度までにには50組の母子が研究協力者となった。2011年度の結果は、「口唇裂初回手術前後の口唇裂・口蓋裂乳児の母親の心理的苦痛」として2011年5月に行われた日本口蓋裂学会で発表された。また2011年8月にノルウェイで行われたヨーロッパ発達心理学会でContinuity and change of mother's representation of infant with cleft lip and or palate: from birth to 6month」として、生後3ヶ月~6ヶ月までの母親の表象の変化に着目して発表を行った。なお,患児の母親およびその他の家族には、心理的苦痛や養育上の疑問、不安など様々な相談・支援等を必要とする可能性が考えられる。このため,各面接では,必要に応じた情報提供を行う等の心理臨床的配慮を行うとともに、病院内外の心理的ケアを行う相談窓口への紹介も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2010年度から現在に至るまで、東北大学病院形成外科・顎口腔機能治療部との密接な連携の下、口唇裂口蓋裂児母子の継続的な調査面接が順調に行われている。2012年度までには18ヶ月までの縦断調査が完了する母子が10組を超え、今年度以降より体系的な結果報告が可能と考えらえられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き東北大学病院での調査研究を継続し、知見の発表、論文執筆に努めたい。
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