2011 Fiscal Year Annual Research Report
視覚性語彙形成による総合的読字支援プログラムの開発とその応用に関する研究
Project/Area Number |
22730725
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Research Institution | Fuji Tokoha University |
Principal Investigator |
後藤 隆章 富士常葉大学, 保育学部, 助教 (50541132)
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Keywords | 特別支援教育 / 学習困難 / 読み書き障害 / 視覚性語彙 |
Research Abstract |
本研究では、小児の認知特性を考慮したうえで視覚性語彙形成過程を明らかにし、読み書き障害児の読み障害の様相に応じて最適化可能な視覚性語彙の形成支援法の開発とその有効性を検討することを目的とした。前年度に引き続き、平成23年度は視覚性語彙の形成を目的とする支援を読み書き障害児を対象に実施し、読み成績の変化を対象児の認知特性との関連により検討を行った。視覚性語彙の形成にあたっては意味的プライミングによる手法を用いてひらがな単語読み処理の促進を図るとともに、語彙情報の自発的に活用場面を要求した学習機会を設定することを通して語彙ネットワークの拡充を図った。その結果、読み障害が深刻な事例において介入効果は大きく、ひらがな単語の読み処理が促進された。また、ひらがな単語の読み処理の促進が認められた事例では介入を行った題材と類似した課題文での読み処理が促進されていたことから、本研究の支援手続きが未指導文にも波及している可能性が指摘できた。漢字の読みに関しては、漢字単語のイメージ性を高いほど、読み習得の成績が高いことから、イメージ性の付加に伴う漢字単語の読み習得過程と効果の持続性について検討を行った。その結果、読み障害が深刻であった事例において漢字単語のイメージ性を付加した指導の効果が著しく、その効果は1カ月以上持続することが明らかとなった。イメージ性の効果が大きかった事例では、ひらがな単語の読み方略として単語のまとまりを意識した読み処理(視覚性語彙に基づく読み処理)が行われていたことから、漢字の読みと視覚性語彙に基づくひらがな単語の読み処理特性との関連性が示唆され、今後、さらに詳細な検討が必要であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)