2011 Fiscal Year Annual Research Report
Hessian K3曲面を利用した3次曲面のモジュライの研究
Project/Area Number |
22740007
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小池 健二 山梨大学, 教育人間科学部, 准教授 (20362056)
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Keywords | 塩田-猪瀬構造 / Kummer曲面 / 楕円曲面 |
Research Abstract |
K3曲面Xの自己同型はH^{2,0}(X)に自明に作用する時、symplecticという。Symplectic involutionは8個の固定点を持ち、商曲面の8個のnodeをblow upして得られる曲面は再びK3曲面になることが知られている。塩田-猪瀬は特異K3曲面(Picard数が20であるK3曲面)Xに対し、以下の性質を持つsymplectic involutionを構成した。 1商曲面YはKummer曲面である。 2XからYへの商有理写像は、T_X(2)からT_YへのHodge isometryを引き起こす。 ここで、T_XはXのtranscendental latticeを表す。一般に、この様なsymplectic involutionを、K3曲面上の塩田-猪瀬構造と呼ぶ。この定義はMorrisonによる。MorrisonはK3曲面Xが塩田-猪瀬構造を持つ為の必要十分条件は、T_XがT_AとHodge isometricである様なAbel曲面Aが存在する事であるということを証明した。一般の(1,d)-編極Abelian曲面のtranscendental latticeはM_d=U+U+<-2d>であるから、Picard数が17のK3曲面Xが塩田-猪瀬構造を有するのはNS(X)=E_8+E_8+<2d>のときである。 しかしながら、この様なK3曲面の3次元族の具体例はd=1,2の場合しか知られていない。これ等の例においては、K3曲面は楕円曲面として与えられ、2-torsion sectionがsymplectic involutionを与えている。この状況においてはXからYへの有理写像は関数体上の楕円曲線のisogenyとして与えれ、dual isogenyを考える事により、Kummer sandwich theoremの幾何学的実現を得る。本研究では、Mordell-Weil rankが0という仮定のもとで、この様な楕円曲面はd=1,2,3,5,7の場合にのみ存在するということを証明した。また、各々の場合に具体的なWeierstrass方程式を記述した。研究成果は論文としてまとめられ、立教大学数学雑誌に掲載される予定である。
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Research Products
(1 results)