2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740009
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
谷本 龍二 静岡大学, 教育学部, 准教授 (20547062)
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Keywords | モジュラー不変式論 / 計算不変式論 / グレブナー基底 / 有限巡回群 |
Research Abstract |
有限巡回群による不変式環の生成系の構成問題に関連する研究を,次の仮定のもと行った.有限巡回群の位数は素数を仮定し,正標数特有の状況である「体の標数と,有限巡回群の位数が一致している(すなわち,有限巡回群はモジュラーである)」を仮定した.このような仮定をした場合,レイノルズ作用素が定義されていないことにより,不変式環の生成系の構成は一般に難しくなる.有限巡回群がモジュラーな場合,不変式環のイニシャル代数の生成系に,不変式環の生成系構成の手がかりが見出せることもある.不変式のイニシャルの持つ性質として,素数位数巡回群作用に関しての積分可能性を持つことがあげられる.本研究において,あたえられた多項式が,素数位数巡回群作用に関して積分可能であるかどうかについて判定するアルゴリズムを,グレブナー基底を用いて作成した.一方,上記の仮定をした場合,代数的閉体上の形式的冪級数環への,モジュラーな素数位数巡回群作用の例が乏しい状況もある.このことも,モジュラーな素数位数巡回群による不変式環の生成系の構成問題へ向けた障害の一つになっている.本研究において,ある有限生成加群の元に付随して,モジュラーな素数位数巡回群の形式的冪級数環への作用が構成できることが分かった.このようなモジュラー不変式論についての次の研究展開へ向けて,異なった視点からの情報交換を,2010年3月筑波大学で開催された第16回代数学若手研究会において行い,状況を把握した.
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