2011 Fiscal Year Annual Research Report
幾何・圏論・組合せ論によるアフィンヘッケ環と量子群の表現論
Project/Area Number |
22740011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榎本 直也 京都大学, 理学研究科, 助教 (50565710)
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Keywords | 表現論 / アフィンヘッケ環 / 量子群 / LLTA理論 / 結晶基底 / 大域基底 / 写像類群 / Johnson準同型 |
Research Abstract |
2006-2008年にかけて柏原正樹氏と共同で「対称結晶」の概念を導入しB型アフィンヘッケ環に対するLLTA型理論の構造を記述する予想を定式化した。私は、その後2009年に、箙の幾何学的表現論を用いて対称結晶の幾何学的実現を得た。この実現とgraded representation theoryの成果を合わせることで、われわれの予想は2010年にVaragnolo-Vasserotにより解決された。しかし表現論の組合せ論的な記述や関連する代数との関連はいまだ未解明な部分が多く、本年度も引き続きそれらの研究を進めた。特に、A型アフィンリー環に付随する対称結晶の組合せ論的記述や有限次元ヘッケ環の表現論との関係に着目して研究を進めている。さらに、研究集会"geometric/categorical aspects of representation theory"で連続講演を行い成果の公表をおこなった。 他方,2010年からはじめた佐藤隆夫氏との共同研究において得られたJohnson余核の新しい障害類の構造を調べる研究を本年も引き続いて行った。特に、表現論的な観点から余核におけるシンプレクティック群の既約表現の重複度に関して、数値計算を実行し、さらにいくつかの具体的公式を得た。また、佐藤氏が研究していた自由群の自己同型群やIA-自己同型群のJohnson余核について、一般線型群の表現論を用いた記述を与えた論文を出版した。さらにこれらの成果について国内の各種研究集会、特に、「第14回代数群と量子群の表現論」やRIMS研究集会「表現論と調和解析における諸問題」、研究集会「リーマン面に関連する位相幾何学2011」で講演を行い成果を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私と柏原氏で導入したg1∞の場合の対称結晶の組合せ論的実現と、私が導入した対称結晶の幾何学的実現を参考にしながら、A型アフィンリー環の場合の対称結晶の組合せ論的記述を得るための研究を現在推進中である。 また、私と佐藤氏が共同で得た写像類群のJohnson準同型に関する表現論的記述は、10年以上予想に留まっていたいくつかの既約表現の重複度を明示的に決定したのみならず、新しい表現のクラスの存在を明らかにした。これについて論文2本を執筆し、1本は出版され、もう1本も現在投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
graded representation theoryを用いてLLTA型理論を理解しようとする試みは現在も進展中であるが、表現論の具体的で詳細な記述に結びつけるにはまだ未解明の点が多い。私やVaragnolo-Vasgerotによる対称結晶の場合を含め、そうした具体的記述を得ることを目標に研究を進めたい。 また私と佐藤氏が得た写像類群のJohnson準同型の構造と国内外で近年進展しているトポロジカルな方法で得られた結果との比較や、braid群・ヘッケ環の表現論やcategorification、共形場理論との関連も探っていきたい。
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