2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 由紀子 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30505649)
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Keywords | 代数幾何 / 弦理論 / ミラー対称性 / 量子コホモロジー / フロベニウス多様体 |
Research Abstract |
2011年度は局所ミラー対称性におけるフロベニウス構造(平坦構造)を調べた。多様体のフロベニウス構造とはその接ベクトル束のフロベニウス代数の構造とオイラーベクトル場と呼ばれるベクトル場の組で次の条件を満たすものである。ひとつはレビチビタ接続が平坦であること、もうひとつはオイラーベクトル場と積、計量とのある整合性条件をみたすこと。有名な例としては射影多様体の量子コホモロジー環や特異点の変形理論がある。ミラー対称性においてはA側(量子コホモロジー)とB側(Brannikov-Kontsevichのフロベニウス構造の構成)が一致すると言われている。本研究の自標のひとつは局所ミラー対称性においてA側とB側のフロベニウス構造を求め、それらが一致することを示すことである。ただし、局所B模型では非退化な計量が存在しないことが分かっているので、局所ミラー対称性においてはフロベニウス構造そのものではなく、より一般化した構造があると考えていた。この一般化したフロベニウス構造がどのようになるべきかを考察した。具体的には、局所ミラー対称性が導出された経緯にしたがって、3次元カラビヤウ多様体の量子コホモロジーの「極限」をとり、局所A模型に導かれるべき構造を検討した。その結果、フロベニウス代数の代わりに、代数上のイデアルによるフィルトレーションとそのgraded quotients上の非退化内積の組で、フロベニウスとよく似たある整合性条件を満たすものを考えればよいことが分かった。これをとりあえずフロベニウスフィルトレーションと呼ぶことにする。フロベニウス多様体の一般化としては、接ベクトル束が積をもち、積に関してフロベニウスフィルトレーションをもつものを考えればよいという結論に達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所ミラー対称性に現れるフロベニウス構造(の一般化)の定義ができたので順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は局所A模型とB模型で具体的に、一般化したフロベニウス構造を求めたい。また、局所ミラー対称性以外の例も構成したいと考えている。
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