2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小西 由紀子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30505649)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 代数幾何 / ミラー対称性 / フロベニウス多様体 / 弦理論 |
Research Abstract |
古典的ミラー対称性はカラビヤウ多様体のグロモフ・ウィッテン不変量と別のカラビヤウ多様体のホッジ構造の変動の間の関係を指す。これは、前者の量子コホモロジーの定めるフロベニウス構造と、後者のホッジ構造の変動の定めるフロベニウス構造の同型と定式化される。本研究の目標はカラビヤウ多様体のミラー対称性から導かれた局所ミラー対称性について同様の定式化を行うことである。 局所ミラー対称性はファノトーリック曲面の局所グロモフ・ウィッテン不変量と、曲面の扇によって定まるノンコンパクト曲線族の混合ホッジ構造の間のある関係を指す。局所ミラー対称性においては、のぞましい計量が自然に存在しないのでフロベニウス構造とならない。そこで、昨年度の研究では混合ホッジ構造のウェイトフィルトレーションにヒントを得て、計量をフィルトレーションとそのgraded quotients上の計量(これを非退化フィルトレーションと呼ぶことにする)に置き換えた混合フロベニウス構造を定義し、またファノトーリック曲面のコホモロジー上に局所グロモフ・ウィッテン不変量によって決まる積を持つような混合フロベニウス構造を導入した。 今年度は昨年度の結果を発展させた。混合フロベニウス構造の定義を、計量なし齋藤構造と接ベクトル束の非退化フィルトレーションの組という、より状況にかなった定義に修正した。前の定義より強い条件を課すことになったが接ベクトル束全体にflat deformed connection が定まるのが利点である。そして「一変数多項式環上のフロベニウス構造」の極限として混合フロベニウス構造が定まることを示した。そしてこの応用として、非特異射影多様体のconcaveベクトル束によってツイストされた同変量子コホモロジーの極限として、コホモロジー上の混合フロベニウス構造を構成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究で得られた混合フロベニウス構造の定義を改良した。これによって、来年度の予定の混合ホッジ構造側での混合フロベニウス構造の構成が可能になると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
Barannikov-Kontsevich、Maninによるホッジ構造から定まるフロベニウス構造の構成を参考にして、混合ホッジ構造から混合フロベニウス構造を構成することが目標である。
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