2010 Fiscal Year Annual Research Report
代数曲線上の線形系の研究と一般型代数多様体への応用
Project/Area Number |
22740016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
春井 岳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 招聘研究員 (00437336)
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Keywords | 代数曲線 / 線型系 / ゴナリティ / 自己同型 / 超楕円曲線 |
Research Abstract |
1 種数の小さな代数曲線について,ゴナリティ(射影直線への被覆の最小次数)を与えるペンシル(あるいは写像)の個数を決定した.主に種数8の曲線が平面7次曲線のモデルをもつ場合を扱い,その特異点の配置とペンシルの個数との関係を明らかにした.この場合平面7次モデルは7つの2重点をもち,この7つが同一の2次曲線上にあるか否かで場合が分かれる.前者の場合には次数5のペンシルは高々7個であり,すべての場合が実際に起こることを示した.後者の場合,次数5のペンシルは高々14個である.このとき個数が2以上の場合はすべて実際に起こり,個数1という場合のみ実際には起こらないこどを明らかにした.このような結果は種数8で初めて現われるものであり,興味深いと思われる.また各々の場合に,曲線の定義方程式を書き下すことにより明瞭な具体例を得た.その他,種数8以外でゴナリティが小さい場合にも,最小次数のペンシルの個数を決定した. 2 代数曲面上の線形系の中で,不変量が異なる代数曲線が共存する場合について大渕朗,加藤崇雄両氏と共同研究を行った.特にゴナリティについて考察し超楕円曲線と非超楕円曲線をともに含む線形系について詳しく研究した. 代数曲面上の代数曲線のゴナリティやクリフォード指数などについては,非特異平面曲線のほか,ヒルツェブルフ曲面(有理線織面),楕円線織面,K3曲面やデルペッゾ曲面などの上の曲線に対して研究がなされており,相異なるゴナリティをもつ曲線を含む線型系もある程度決定されている.今回の研究では,特異点の配置が与えられたとき,その非特異モデルとして超楕円曲線とトリゴナル曲線(ゴナリティ3の曲線)がともに現れる場合について考察した.
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