2011 Fiscal Year Annual Research Report
可換代数的手法による多様体の三角形分割の面の数え上げの研究
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22740018
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村井 聡 山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (90570804)
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Keywords | f-列 / 三角形分割 / 順序複体 |
Research Abstract |
多様体の三角形分割のf-列の研究は数え上げ組合せ論における主要な研究課題の一つである。その中でも、球面の三角形分割のf-列の研究は中心的な話題であるが、本年度は球面の三角形分割であって半順序集合の順序複体となっているもののf-列に関する研究を遂行した。球面の三角形分割であって半順序集合の順序複体となっているものを調べることは、球面の正則なCW分割の重心細分を調べることに対応し、組合せ論だけでなく、位相幾何学的な観点からも興味深い問題である。特に、このような研究は、多様体の正則なCW分割の面の数え上げという、より一般的な問題を研究する為の基礎を与える研究となることが期待される。 今年度に行った研究により、S*-shellableと呼ばれる特殊な性質を持つ順序複体に対し、そのf-列から決定するガンマ列と呼ばれる数列が、ある単体的複体のf-列になるという強い性質を持つことを発見した。今回考案したS*-shellableという性質を満たす順序複体は多面体の重心細分を含むかなり広いクラスの順序複体であり、本研究結果が一般の球面の三角形分割の場合に拡張されることが期待される。また、本研究結果は2010年にNevoとPetersenにより提唱された、flag sphereのガンマ列がある単体的複体のf-列になる、という予想を部分的に解決するものである。加えて、3次元と4次元の場合に球面の三角形分割を与えるような順序複体のf-列を分類することにも成功した。これらの研究結果は、今まであまり研究が進んでこなかった順序複体のf-列の研究に新しい展望を与えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、多様体の三角形分割や単体的セル分割の面の個数がどのような性質を持つかを調べることである。本研究の主要な目的の一つである、ベッチ数を固定した時の多様体の単体的セル分割のf-列の分類については、既に奇数次元の場合に完全な解答を得ており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主な目的は多様体の単体的セル分割のf-列の分類を行うことと、多様体の三角形分割のf-列の上限と下限を得ることである。多様体の単体的セル分割のf-列の分類については既に十分な結果が得られており、今後はもう一つの課題である多様体の三角形分割のf一列の上限と下限に関する研究を進めていく。特に、レフシェッツ性と呼ばれる代数的な性質との関連を上手く利用して、多様体の三角形分割のf一列に関する研究を進める。
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Research Products
(4 results)