2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740019
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石川 秀明 長崎大学, 教育学部, 准教授 (90390385)
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Keywords | ディリクレ級数 / ゼータ関数 / 解析接続 / 係数和の評価 |
Research Abstract |
ディリクレ級数で定義されたゼータ関数をF(s)とし、ディリクレ級数を定義する係数の平均をA(x)とする。ゼータ関数F(s)に関数等式のような強い条件は仮定せず、より弱い解析的条件のみ与えた場合にA(x)の挙動の観点からどのような同値命題が得られるかを考察することが、本計画の目的である。関数等式をもたないゼータ関数のクラスを系統的に分類していくことを想定している。本年度は、(1)F(s)が収束軸を超えて複素平面全体に解析接続でき、その極はs=1にのみ高々一個,(2)F(s)の非収束領域において、変数sの虚部tを変化させたときの|F(s)|の変化状況をtの多項式オーダーで評価できる,という二つの条件を設定した。一方、A(x)からx(log x)^kの定数倍のkについての有限和を引いたものをg_0(x)とし、関数列{g_m(x)}^∞_<m=0>(ここで関数g_<m+1>(x)はg_m(x)の不定積分、mは非負整数)を考える。そして、g_m(x)に対し、変数xに関しての上からの評価式を考えた際のxのべき指数α_mに注目する。このとき、α_mとmの比の上極限がある範囲におさまることが(1)+(2)と同値な条件であると予想した。本年度は、これが、(1)+(2)が成立するための必要条件であることを証明した。十分条件であることの証明にはまだ成功していないが、証明過程に現れる残余項の評価が議論の核心部分であり、凸性原理にもとづき評価を行うことで証明は可能であろうとの感触は得ている。十分条件の証明は次年度以降の課題として残った。
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