2011 Fiscal Year Annual Research Report
強可視的作用の立場からの非対称な球多様体の幾何構造の研究
Project/Area Number |
22740029
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
笹木 集夢 東海大学, 理学部, 講師 (60514453)
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Keywords | 表現論 / 複素多様体 / 可視的作用 / 球多様体 / カルタン分解の一般化 |
Research Abstract |
複素等質空間における可視的作用の分類理論を目指し,本研究課題ではアフィンおよび準アフィンで球等質空間とよばれるクラスを対象に研究を遂行した.球多様体の上の関数空間に自然に定義される表現は無重複に既約分解されるという性質をもつ.一方複素多様体上の正則関数全体のなす空間に定義された表現が無重複であるための十分条件が可視的作用を用いて近年与えられた.この必要条件については未解決であるが,線型空間の場合には研究代表者によって正しいことが明らかになり,線型でない場合も成り立つと予想される.本年度は,既約な球アフィン等質空間で一部のクラスや球冪零軌道が可視的作用を持つかどうかを研究し,各軌道と交叉する部分多様体(スライス)を具体的に明示することにより,その幾何構造を調べた. まず,SO(8,C)/G_2(C)に対する研究結果をまとめた論文が出版された.これは球アフィン複素等質空間のうちケーリー型とよばれるものの1つである.証明は,その被覆空間であるSpin(8,C)/G_2(C)が7次元の複素球面の直積に微分同相であることにより与えた.次に,球等質空間でありかつ4-対称空間に対して可視的作用をもつことを証明した.一般にn-対称空間は対称空間を一般化した概念である.対称空間の場合には古典的なカルタン分解が知られているが,球4-対称空間に対しても対称空間におけるカルタン分解の一般化を与えた.これによって,4-対称空間への作用におけるスライスを具体的に構成することができた.本結果は,ドイツのPaderborn大学,東京理科大学での研究集会や日本数学会年会で発表し,論文は現在準備中である.さらに,球冪零軌道に対して可視的作用の視点から研究し,やはり可視的作用をもつことを明らかにした.この研究は,4-対称空間における手法とは異なり,線型空間における研究結果(2009年,2011年に論文を発表)を応用することでアプローチすることができた.本結果の概略についてチュニジアなどで講演し,現在論文を準備中である.
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Research Products
(9 results)