2011 Fiscal Year Annual Research Report
多様体内の準正曲面と接触構造に関する研究と複素特異点論への応用
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22740032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 昌治 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10361784)
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Keywords | オープンブック分解 / 特異点 / ファイバー結び目 / 接触構造 / Stein fillable |
Research Abstract |
3次元多様体のオープンブック分解と両立する接触構造のtight性の研究は,その構造が4次元多様体の複素構造から定まるものかを特徴づける重要な概念であり,特に複素特異点論におけるミルナー束と基本的なレベルで密接に関連している.今年度は、この枠組みの高次元化が可能かどうかについて考察した。東京理科大学の岡睦雄氏によりstrong lypolar weighted homogeneous な mixed多項式について、ある良い条件が満たされると、そのミルナー束が標準的な接触構造と両立することが示された。この例は一般次元のもので、準正曲面を考える上で参考になった。この話を踏まえて、標準的接触構造と両立するオープンブック分解に対し、そのsuspensionにより得られるオープンブック分解も標準的接触構造と両立することが分かりつつある. また,埼玉大の下川航也氏およびカリフォルニア州立大学チコ校のThomas Mattman氏との共同研究として,結び目補空間の基本群のSL(2,C)表現から定まるA多項式と呼ばれる結び目不変量について,結び目がある特殊なタングル分解をもつと、そのA多項式はその1つのタングルから得られる結び目のA多項式を因子として含むことを示すことができた.これはA多項式という計算の難しい対象の特徴を図式から導きだすもので、極めて珍しい結果といえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的で述べた、準正曲面を多様体のオープンブック分解、接触構造、結び目理論、ミルナー束についての研究においては、f\bar g型の特異点のミルナー束の接触構造が決定できたので、一段落ついたといえる.また、高次元化についてもsuspensionによる考察が進みつつあるので、順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
Suspension による高次元化を定式化し、接触構造との関係を明確にする.それを踏まえることで、一般次元における正準曲面(quasipositive surface)の定義を導出する.
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