2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740035
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
畠中 英里 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 講師 (00532558)
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Keywords | 低次元トポロジー / 3次元多様体 / 結び目 / 不変量 |
Research Abstract |
低次元トポロジーの分野においては、結び目、曲面結び目と3・4次元多様体といった幾何的な対象を完全に分類することが一つの大きな課題である。位相不変量とは、幾何的な対象に代数的な値を与える写像である。不変量の構成の仕方によって、対象の幾何的な性質をうまく導き出し、分類問題に大きく役立たせることができる。本研究では、カンドルという代数的構造と、分岐被覆という位相幾何の道具を用いて不変量を構成し、この分類問題にアプローチした。まず初めに、ある代数的集合(カンドル)を用意し,結び目の図式に現れる各弧にカンドルの元をひとつずつ与えた("色ぬり"操作)。色ぬりの際に適切なルールを定めることにより、この操作が3次元多様体の基本群からある群への準同型を与えていることが分かった。次に,ルールを満足する全ての色ぬりの集合を考え,ある空間の部分集合と見なすことで,この不変量の値を定めた。さらに,上で得られた不変量が、Dijkgraaf-Witten不変量という既存の不変量を含んでいることが分かった。このことにより、立体の組み合わせで計算されていたこの不変量をより平易に求めることが可能となった。またこの不変量は3次元多様体を対象とするものであったが,その構成から結び目のシャドウコサイクル不変量と呼ばれるものとも関係づけることができた。これらの成果は、結び目や、結び目をもとに得られる4次元空間内の曲面結び目を対象とした不変量への拡張、さらにさまざまな不変量どうしの関係を調べる等、今後も研究を進めることで新しい視点から低次元トポロジーの発展へと貢献できると考えられる。
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Research Products
(3 results)