2011 Fiscal Year Annual Research Report
非ケーラー構造によるコンパクト等質複素多様体の研究
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22740040
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山田 拓身 島根大学, 総合理工学部, 講師 (40403117)
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Keywords | 微分幾何学 / 等質複素多様体 / リー群 / リー環 / 非ケーラー構造 |
Research Abstract |
平成23年度は、リッチ平坦なコンパクト擬ケーラー多様体、擬ケーラー構造を持つコンパクト可解多様体の例の構成、およびコンパクト可解多様体上の非ケーラー構造の変形について研究をおこなった。その結果次が得られた。 1.標準束が正則的に自明でなくてもRicci曲率が零になるコンパクト擬ケーラー可解多様体が多く存在する可能性があることを十分条件を求めることで示した。 2.1に関連して余コンパクト離散部分群をもつ可解リー群の例の構成法をみつけた。 3.コンパクト正則シンプレクティック可解多様体の変形空間の障害について、計算結果を得られた。 複素可解リー群が推移的作用するコンパクト複素多様体は複素可解リー群の余コンパクト離散部分群による商空間となることが知られており、余コンパクト離散部分群の研究は重要である。また、冪零リー群の場合には、余コンパクト離散部分群の存在するための必要十分条件が知られているが、一方、可解リー群の場合はまだ知られていない。従って、余コンパクト離散部分群をもつ可解リー群の例はあまり知られておらず、成果2の具体例の構成は大変重要である。また、成果1は複素等質空間(複素リー群が推移的に作用する)ではないが、片側不変な複素構造をもつ実リー群が推移的に作用する複素等質空間であり、非ケーラー構造をもつ多様体論が豊富な土壌をもつ事を示唆しており大変重要である。成果3は非ケーラー構造の変形ついてであり、複素構造の変形以外の変形理論に関する具体例をあたえることになり、重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
擬ケーラー構造を持つコンパクト冪零多様体の変形空間については、当初の予定であった6次元以外の場合にも進展があった。旗多様体上の擬ケーラーアインシュタイン構造については、情報交換によりケーラーアインシュタインの場合の重要文献がわかり、調査が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ルート系、等質複素多様体について情報収集をおこない、理論構築をする。研究計画では主にドルボーコホモロジー群の計算により、位相構造を決定しようとしたが、低次元でうまく行かない例がみつかったため、対応策として、ドルボーコホモロジー群以外のコホモロジー群の考察、ファイバー束の構成、Mostow等によって考察された可解リー群におけるルート系の類似物により研究を推進していく。
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