2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入谷 寛 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20448400)
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Keywords | グロモフ・ウィッテン理論 / 量子コホモロジー / ミラー対称性 / ホッジ理論 / トーリック多様体 / 軌道体 / カラビ・ヤウ超曲面 / FJRW理論 |
Research Abstract |
本年度の実績として,まずトーリック軌道体内の完全交差,とくにカラビ・ヤウ超曲面に対するホッジ理論的ミラー対称性を整構造つきで証明したことが挙げられる.本研究では,量子コホモロジーの大域的構造の研究を一つの目的としており,その整構造およびミラー対称性との関係は大域的構造の理解のための第一歩である.報告者は以前の研究において,量子コホモロジーに対する整構造を提唱しており,トーリック軌道体自身に対しては,それがミラー対称性で対応するミラー(ランダウ・ギンズブルグ模型)側の自然な整構造と一致することを示していた.今回の結果はそれをトーリック軌道体内の完全交差に対して拡張したものである.特に数理物理で重要と考えられるカラビ・ヤウ超曲面に対するホッジ理論的ミラー対称性を示したことは意義がある.この結果を得る過程で,報告者はトーリック軌道体の完全交差に対するミラー定理を得,特にその中で量子コホモロジーD加群が必ずしも単位元で生成されるとは限らないという現象を見出した.この結果,量子コホモロジーD加群は多重GKZ系と呼ばれるものと同一視される.この現象はGuest-Sakaiによって報告されていたものを一般化したものである.本結果はプレプリントとして発表している.また他の研究成果としては,FJRW理論における整構造の解明がある.重みつき射影空間内のカラビ・ヤウ超曲面の量子コホモロジーはFJRW理論に解析接続されることが予想されている.Chiodo・Ruan氏との研究においてはこの予想を証明し,解析接続の下で誘導されるFJRW理論の整構造が行列分解の圏のK群から定まるものであり,カラビ・ヤウ超曲面の連接層の導来圏と行列分解の圏の間の圏同値(Orlov)が解析接続を定めていることが分かった.本結果については23年度以降に発表の予定である.
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Research Products
(2 results)