2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22740042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
入谷 寛 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20448400)
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Keywords | 量子コホモロモジー / グロモフ・ウィッテン理論 / ホッジ理論 / ミラー対称性 / トーリック多様体 / カラビ・ヤウ多様体 / FJRW理論 / Seidel元 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究成果が得られた. (1)カラビ・ヤウ超曲面の量子コホモロジーの解析接続 いわゆるLG/CY対応においてカラビ・ヤウ超曲面のグロモフ・ウィッテン理論は対応する特異点(ランダウ・ギンズブルグ模型)に対するFJRW理論に解析接続されると予想されている.報告者はAlessandro Chiodo, Yongbin Ruan氏との共同研究において,種数0の理論(いわゆる量子コホモロジー)がお互いに解析接続されることを証明した.以前に報告者は量子コホモロジーに導来圏から定まるガンマ整構造を導入していた.本共同研究においては特異点のFJRW理論に対しても行列因子化の圏に付随するガンマ整構造を導入し,さらに二つのガンマ整構造の解析接続はOrlovによる導来同値から誘導されることを証明した.この結果はプレプリントとして2012年1月に発表した.FJRW理論はケーラーモジュライのある特定の特異点(Gepner点)の幾何学的解釈を与えるものとして重要である. (2)トーリック多様体のミラー変換のシンプレクティック不変量(Seidel元)による特徴づけ Eduardo Gonzalez氏との共同研究において,トーリックミラー変換をトーリック多様体へのトーラス作用から定まるSeidel元によって特徴づけた.Seidel元からミラー変換が,また逆にミラー変換からSeidel元が計算できる.Seide1元はGromov-Witten不変量の一種であり,A模型理論の言葉のみでB模型との繋がり(ミラー変換)が記述できるのは興味深い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,グロモフ・ウィッテン理論の解析接続としてカラビ・ヤウ超曲面に焦点を当てた.モジュライ空間の特異点としてFJRW理論が現れ,さらにその点のまわりでの整構造を行列因子化の圏の言葉で記述することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方向としては,導来同値とは限らない場合の量子コホモロジー(あるいはFJRW理論)の間の関係を明らかにすることが重要であると考えられる.また高種数理論における(大域的な)幾何学的量子化の枠組みを整備し,保型性や可積分階層に対する応用を考えたい.
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Research Products
(2 results)