2011 Fiscal Year Annual Research Report
Floer理論によるラグランジュ部分多様体の対の交叉の研究
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22740043
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
入江 博 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (30385489)
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Keywords | シンプレクティック多様体 / Floerホモロジー / エルミート対称空間 / 実形 / ラグランジュ部分多様体 / ハミルトン体積最小性 / Arnold-Givental不等式 |
Research Abstract |
Gromovによって1985年に導入された擬正則曲線の方法により、シンプレクティック多様体の大域的な研究が発展した。この方面の基本的な予想の一つに、シンプレクティック多様体の反シンプレクティックな対合による固定点集合として得られるラグランジュ部分多様体Lとそのハミルトン微分同相写像Φによる像Φ(L)との交点数を、LのZ_2係数のベッチ数の和で下から評価するArnold-Givental予想がある。この予想は、1995年にコンパクト型既約エルミート対称空間の実形Lの場合にY.-G.Ohにより示され、さらに一般の場合の研究が進んでいる。昨年度、単調なコンパクト型エルミート対称空間の実形の対(L_1,L_2)の場合にFloerホモロジーを計算することに成功し、実形の対(L_1,L_2)に対するArnold-Givental不等式の拡張を得た。 今年度はその応用として、コンパクト型エルミート対称空間の一種である複素2次超曲面の実形Lをハミルトン変形したΦ(L)の体積が球面として埋め込まれている実形の体積以上になることを示した。特に、実形Lが球面の場合、それがハミルトン体積最小になることが証明できた。証明方法は、上で述べた実形の対(L_1,L_2)に対する一般化されたArnold-Givental不等式および積分幾何学的な方法による。これらは、研究代表者、酒井高司准教授(首都大学東京)、田崎博之准教授(筑波大学)との共同研究により得られた。この成果は、ラグランジュ部分多様体のハミルトン体積最小性問題に関するOhの予想の一つの部分的解答を与える。
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