2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラリタ・シュインガー作用素を用いたスピン幾何学の開発
Project/Area Number |
22740047
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本間 泰史 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50329108)
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Keywords | 微分幾何 / スピン幾何 / ディラック作用素 / ラリタ・シュインガー作用素 |
Research Abstract |
本研究では,リーマン-スピン多様体上に定義される一階楕円型微分作用素であるディラック作用素とラリタ・シュインガー作用素の類似点,相違点を調べることにより,高次スピンの幾何学である「ラリタ-シュインガー作用素を用いた新しい微分幾何学」の方向性を探ることを目的としている.今年度の研究では,3次元ハイゼンベルグ多様体上のラリタ・シュインガー作用素のスペクトルを具体的に計算し,その性質を考察し,ディラック作用素との比較を行った.ラリタ・シュインガー作用素の固有値の計算は対称空間でも難しく,球面または球面の積の場合しか知られていない.また,計量の変形から固有値の変化が具体的にわかるため,3次元ハイゼンベルグ多様体上での固有値計算は微分幾何学の観点からは重要である.ディラック作用との類似点として,計量を変形していけば零固有空間の次元を任意に大きくとることができることを示した.特に,ゼロ固有空間の次元は微分位相不変量ではないことがわかる.一方,相違点としては,3次元ハイゼンベルグ多様体を2次元トーラスに潰したときの固有値の挙動である.作用素を多様体の境界への制限したり,多様体を崩壊させた場合には,ディラック作用素と異なり作用素の分解を考慮しながら固有値の挙動を調べる必要があり,現時点で完全な解明には至っていない.今後の検討課題である.また,同様のことをレンズ空間にて実行中である.以上の研究成果を研究集会にて発表した.また,上記の研究に付随して,3次元ハイゼンベルグ多様体のエータ関数に対し共同研究を行った.
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Research Products
(1 results)