2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラリタ・シュインガー作用素を用いたスピン幾何学の開発
Project/Area Number |
22740047
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本間 泰史 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (50329108)
|
Keywords | 微分幾何 / スピン幾何 / ディラック作用素 / ラリタ・シュインガー作用素 |
Research Abstract |
本研究は、楕円型一階微分作用素であるラリタ・シュインガー作用素を様々な視点から考察し、ディラック作用素に対する幾何学・解析学のアナロジーを行うことを目的としている。 平戌22年度の研究に引き続き、3次光ハイゼンベルグ多様体上の一階微分修胴素及び固有値から定義されるエータ関数に関する研究を行った。複雑な関数を扱うため今年度はその準備期間としたので、大きな進展は得られなかったが、引き続きこの方向の研究を行う。また、D.Eelboode氏の最新の論文で高次スピンをもつ一階微分作用素に対する関係式の一部が明らかになった。その結果を利用し、表現論的視点からラリタ・シュインガー作用素の多項式解を構成することに対し、若干の進展を得ることができた。構成には、高階の微分作用素を必要とすることが判明し、新しい高次カシミール元の構築が不可欠となろう。 スピン幾何学の別の話題として、ケーラー多様体上のディラック作用素の話題は重要である.ケーラーツイスタースピノール等の概念が導入され幾何学的に興味深い。そこで、ケーラー多様体土のラリタ・シュインガー作用素に対して、同様の概念を構築すべく研究を行った。高次スピン束のユニタリ群による既約分解を行い、各既約ベクトル束上に微分作用素がどう作用するかを考察した。 また、研究課題を進めるための見通しを立てるべく、研究集会「量子化の幾何学2011」(2011年11月18日、19日)を早稲田大学において開催し、最新の微分幾何学の話題と研究課題の関連性について講演者・参加者らと有益な議論を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要に記しているように今年度は3つの話題について研究を行った。エータ関数については、特殊関数を扱うため準備期間を必要とした。多項式解の話題については、若干の進展があったものの、問題を解決するための糸口となる不変元の構築には斬新なアイデアが必要である。また、ケーラー多様体上の微分作用素の話題については、まだ第一段階であり、インパクトのある結果がでるまでには、より多くの研究時間を必要とする。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究では、平成22年度、23年度での研究を引き続き行う。3次元多様体上の一階微分作用素及びエータ関数、ユークリッド空間上の多項式解、ケーラー多様体上のラリタ・シュインガー作用素について研究を行う.研究の進歩状況によっては、特別な奇数次元多様体上の一階微分作用素の固有値の考察、四元数ケーラー多様体上のラリタ・シュインガー作用素について考察する。これらの研究を進めるため、国内外の研究者らと研究打合せを行うこととする。そのため、次年度の研究費は主に研究打合せ及び研究発表のための国内外旅費として使用する。その他に、関連する話題の洋書・和書の費用として使用する。
|