2010 Fiscal Year Annual Research Report
代数的位相幾何学の手法によるシューベルトカルキュラスの研究
Project/Area Number |
22740051
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鍛冶 静雄 山口大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (00509656)
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Keywords | 幾何学 / トポロジー / コホモロジー / 旗多様体 / シューベルトカリキュラス |
Research Abstract |
旗多様体と呼ばれる空間は、代数幾何学、幾何学、表現論、組合せ論の数学の諸分野みならず数理物理においても重要な役割をはたす対象である。この研究では、旗多様体の代表的な位相不変量であるコホモロジー環を、主に代数的位相幾何学の立場から考察した。 旗多様体はリー群の等質空間として定義され、リー群の極大トーラスの作用による対称性をもつ。その情報は同変コホモロジーによって記述されるが、シューベルト多様体と呼ばれる幾何学的な基底により、その環構造を決定する事がシューベルトカリキュラスの主な目的である。本研究では旗多様体のトーラス同変コホモロジーに対して知られている ・代数的位相幾何学の立場から、多項式環の剰余環による表示 ・同変トポロジー、及び、組合せ論の立場から、GKMグラフによる表示 ・代数幾何学の立場から、部分多様体(シューベルト多様体)による表示 と3つの異なる表示について、その間の関係をワイル群の作用など付加的構造まで込めて考察した。この結果の応用として、例外G_2型旗多様体の同変コホモロジーを具体的に決定した。 さらに、この関係を抽象化して、二重余不変式環という純代数的な対象に対して、同変シューベルトカリキュラスのアナロジーを展開した。これにより、旗多様体のシューベルトカリキュラスの代表的な結果である、シューベルト多項式に対するシュバレーの公式、直交性、差分商作用素、対称性などに、純代数的組合せ論的な扱いを与えると同時に、旗多様体という幾何的対象を離れ、一般の有限コクセター群に対して対応する結果を得た。
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