2011 Fiscal Year Annual Research Report
Bayes的アプローチによる統計的非正則推定の新展開
Project/Area Number |
22740053
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大谷内 奈穂 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40375374)
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Keywords | 最小分散不偏推定量 / 完備十分統計量 / 整級数展開 |
Research Abstract |
統計的推定論において、母数の関数に対する最小分散不偏推定量を求める問題に関しては、正則条件の下での情報不等式による分散の下界による評価法や、完備十分統計量が存在する場合にはそれに基づく不偏推定量を求める方法等が知られている。特に後者の方法については、単純な不偏推定量を完備十分統計量で条件付き期待値をとれば良いことは分かっているが、その形を具体的に表現することが難しいことも多い。Mukhopadhyay and Bhattacharjee(2010)では完備十分統計量が存在する場合には、母数の関数が無限和の関数として表現できるときに、完備十分統計量に基づく推定量の無限和が最小分散不偏推定量であることを示している。しかし、母数の関数が無限和の関数として表わされる母数の範囲を母数空間全体で考えているかどうか明確でないため、結論にやや曖昧な点があった。そこで、対象となる母数の範囲を明確にし、母数空間の部分集合においての完備十分統計量に基づく母数の関数の一様最小分散不偏推定量について考察を行った。その結果、母数空間上で定義された関数が母数空間の部分集合において整級数展開可能であるときに、その部分集合における完備十分統計量に基づく推定量が一様最小分散不偏推定量であるための十分条件が得られた。さらに、部分集合における完備十分統計量が母数空間全体に対しても完備十分であれば、部分集合上で求めた推定量が母数空間全体においても一様最小分散不偏推定量となることが示せた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22,23年度の研究結果を基に、より一般の非正則分布族に対する情報不等式の導出についての研究を順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
両側で切断されている分布族における位置母数の推定問題において、特に両端点での密度の値が異なり、かつ両端点での密度の微分係数の和が0とならない場合について、適当な事前分布を用いて未知母数の推定量のBayesリスクに関する漸近的な下界を求め、推定量のBayesリスクに関する情報不等式を導出する。さらに、最尤推定量、最大確率推定量等のリスクと数値的な比較も行う。
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Research Products
(3 results)