Research Abstract |
分布の台が母数に依存するような非正則分布族の典型として切断分布族が考えられるが, 台が区間となる場合に, その両端点での密度の値が同じときには, 範囲の中央を基点として推定量の2次の漸近有効性が論じられた. さらに, その両端点の密度の値が異なる場合については, その典型的な場合として, Akahira(1977)は切断指数分布の位置母数推定問題を取り上げ, 最尤推定量よりも荷重推定量が漸近分散を小さくするという意味で良くなるような荷重の条件を求めている. またAkahira, Ohyauchi and Takeuchi(2007)では, 切断指数分布を含む一般の両側切断分布族の位置母数推定問題において, 最良位置共変推定量(Pitman推定量)の漸近展開と漸近分散が求められ, このような場合には範囲の中央が推定量の漸近的な基点とはならないことが示されている. そこで, 上記2つの論文の結果の関係を通して, Pitman推定量の漸近展開の構造について考察し, 位置共変推定の観点からPitman推定量, 荷重推定量の漸近分散の比較を行った. その結果, Pitman推定量の漸近展開の定数のオーダーの項は, 切断指数分布の場合のPitman推定量の形と同じであることが分かり, 切断指数分布が両側切断分布族の基点として把えられることが示された. さらに, 片側切断分布族の位置共変推定問題においても, Pitman推定量の漸近展開の定数のオーダーの項が指数分布の場合のPitman推定量の形と同じであることが分かった. また, 偏り補正した最尤推定量はPitman推定量と1次のオーダーでは漸近的に同等であるが, 2次のオーダーでは漸近的差が生じ, 偏り補正した最尤推定量のPitman推定量に対する2次の漸近損失が解析的に求められた.
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