2012 Fiscal Year Annual Research Report
半正定値計画問題に対する高精度計算アルゴリズムの開発
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22740056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
脇 隼人 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (00567597)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 多項式最適化問題 / 面的縮小法 / 半正定値計画緩和 / 対称錐上の線形最適化問題 / 低ランク解 |
Research Abstract |
次の3点について重点的に研究を行った. [1] Doubly Non-Negative optimizationに対するよりロバストな面的縮小法を提案した. 去年度提案した手法よりもより精度の高い解を得ることに成功している. これは, 得られる半正定値計画問題の半正定値性だけでなく非負性を組み合わせることで実現できた. (東京工業大学 中田准教授, 田中さんとの共同研究)[2]多項式最適化問題に対する半正定値計画緩和を利用して, 確率点過程で現れるalpha-determinantに関する予想に挑戦した. Alpha-determinantとは行列式を拡張した関数であり, この予想は任意のサイズの半正定値行列に対して, alpha-determinantが非負の値をとるであろう, というものである. この予想を多項式最適化問題の枠組みでとらえた. ここで, Lasserreの半正定値緩和ではなく, より強い定式化を提案し, 行列サイズN=3,4,5,6まではこの予想が正しいことを確認した. この定式化においても面的縮小法の考え方を利用している. (九州大学 白井教授, IBM基礎研究所 恐神さんとの共同研究)[3] 半正定値計画問題の低ランク解を見つける実用的なアルゴリズムの開発を行った.低ランク解は半正定値計画問題を用いる様々な分野で必要とされている技術であり, 発見的手法がいくつか提案されている. しかしながら今回の滞在で開発したアルゴリズムは一般の半正定値計画問題に適用可能であり, 他の既存手法とはこの点で異なっている. 今後は実装を行い, 数値実験から提案手法の正当性を主張していきたい. (Waterloo大学 Tuncel教授との共同研究)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特定の半正定値計画問題に対して面的縮小法を適用し効率の良い計算を実現できたが, 一般の半正定値計画問題または対称錐上の線形計画問題に対する面的縮小法の実装やソフトウェア化は進んでいない. これは, 面的縮小法が誤差に敏感で何らかの構造を利用して解析解を求めてそれを使わないと, 実現できないからである.
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Strategy for Future Research Activity |
一般の半正定値計画問題では難しいので, 組合せ最適化問題やモーメント問題, 双線形行列不等式問題等の様々な分野で利用される最適化問題から出てくる半正定値計画問題を中心に, 面的縮小法を適用し効率的な計算を実現していきたい.
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