2011 Fiscal Year Annual Research Report
特異性を持つ偏微分方程式の解の高精度計算および精度保証に関する研究
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22740059
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小林 健太 一橋大学, 大学院・商学研究科, 准教授 (60432902)
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Keywords | 非線形方程式 / 特異性 / 精度保証付き数値計算 / 有限要素法 / 補間誤差定数 / 流体方程式 / 解の存在と一意性 / 爆発解 |
Research Abstract |
本研究の目的は、流体方程式をはじめとする偏微分方程式について、解が強い特異性を持つ場合に、その特異性の性質を上手く利用しながら精度保証付き数値計算を行い、解の存在や一意性などの方程式の解の構造を明らかにすることです。その研究目的に対して以下の研究成果を得ました。 研究代表者は平成22年度までの研究で、三角形要素上の線形補間誤差定数を精度保証付き数値計算の助けを借りて精密に評価することに成功していますが、平成23年度においては、その結果をさらに発展させ、使い易く精度の良い公式を作成することに成功しました。それにより、2階の楕円型偏微分方程式の解に対する検証をより効率的に行うことができるようになりました。 三角形要素上の線形補間誤差定数が外接円の半径の定数倍で押さえられる、いわゆる外接半径条件を証明することができました。この結果をドロネー三角形分割と組み合わせることにより、あらかじめ与えられた誤差評価を実現するための有限要素メッシュを簡単に作成できるようになりました。 四面体要素上の線形補間誤差定数について、上界を与える公式を数値計算により求めることができました。ただし、この上界については、数値計算により成り立つであろうと考えられるだけで、三角形要素の場合のような厳密な証明はまだありません。 重調和方程式の解の精度保証には4階微分に関するノルム不等式が用いられています。22年度までの研究では、正方形要素に対する不等式のみ求められていましたが、23年度には、これを長方形要素に拡張することができました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的のうち、非凸領域における重調和方程式の有限要素解に対する効率的な事前誤差評価の確立については達成できませんでしたが、三角形要素および四面体要素に対する線形補間誤差定数の評価については計画以上の進展が見られました。よって、全体的にはおおむね順調に進展していると考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初の研究計画のうちでまだ解決されていない、非凸領域における重調和方程式の有限要素解に対する効率的な事前誤差評価や、非線形方程式の爆発解の解析などについて主に研究を行いますが、四面体要素に対する線形補間誤差定数の評価について重要性が明らかになり、さらに解決への糸口も見えてきましたので、その周辺の研究についても行う予定です。
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Research Products
(4 results)