2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲浜 譲 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (80431998)
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Keywords | ラフパス理論 / 確率微分方程式 / 大偏差原理 / ラプラス近似 / フラクショナルブラウン運動 / マリアヴァン解析 |
Research Abstract |
今年度もラフパス理論の解析学的な側面を主に研究した。いままではフラクショナルブラウン運動でラフパスの意味での微分方程式が駆動されている場合に、ラプラス近似という大偏差原理の精密化を中心に考えてきたが、今年はもうすこし研究の幅を広げて、大偏差原理やラプラス近似以外の問題を考察した。例えば、停留位相の方法といわれる極限定理を共著者の河備氏(岡山大学)と研究しており、こく近いうちに論文としてまとめる予定である。この種類の極限定理に必要になる、伊藤写像に対するテーラー展開を筆者が証明した論文が出版された。 こういった解析的な方向でラフパス理論の研究を進めるのは、非常に自然ではあるが、何カ所か難しい部分があり、最大のものはヤコビアン過程(導出過程)とよばれる元の微分方程式に付随した確率過程が可積分であることの証明である。筆者はこのヤコビアン過程の可積分性を、駆動する過程が普通の(無限次元)ブラウン運動の場合に証明して、これを論文にまとめた。 日本にはラフパス理論の研究者が非常に少ないので、こういった一連の成果を2つの国際会議で発表して、海外の研究者と交流や情報交換できたことは、研究を進める上で有益であった。 また、まだ論文としての形にはなっていないが、ラフパス理論の(ホップ)代数的側面や、確率偏微分方程式への応用などの方向の勉強も続けた。
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Research Products
(4 results)