2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22740061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲浜 譲 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (80431998)
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Keywords | ラフパス / 確率微分方程式 / 大偏差原理 / マリアヴァン解析 / 漸近展開 / フラクショナル・ブラウン運動 |
Research Abstract |
今年度は引き続きラフパス理論の解析的な側面を研究した。主な手法としてはマリァヴァン解析という強力な道具をラフパス理論に持ち込んで、フラクショナル・ブラウン運動などのガウス過程をラフパスに持ち上げたものの性質をしらべた。研究した解析的な定理は、大偏差原理やラプラス近似、密度関数の漸近展開など、通常の確率論で中心的な位置をしめる極限定理である。このようなラフパスとマリアヴァン解析との併用は非常に自然な流れであり、今後ますます世界中でさかんになると個人的には思っている。 研究内容をもう少し具体的に書くと、バースト指数が1/2より大きい場合に、フラクショナル・ブラウン運動で駆動されるラフパスの意味での確率微分方程式(もどき)を考えると、楕円型条件のもとで解は密度関数を持つことが知られている。この密度関数の短時間での漸近展開を渡辺超関数理論というマリアヴァン解析でも重厚な部分を使って証明した。またFreidlin-Wentze11型の大偏差原理が楕円型の条件の元で成立することも、ラフパス理論とマリアヴァン解析を併用して示した。 上記のテーマで2点プレプリントを書いて、プレプリント・サーバー(ArXiv Math)に投稿した。ただし、学術雑誌にはまだ正式には受理されていないので、本報告には記入していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点までに、課題になっているラフパス理論に関する論文を、数学業界の常識に照らし合わせて、悪くはないペースで書けている。この先も特に重大な方針変更をする必要性を感じていない。 私個人の事情を別にしても、ラフパス業界全体が上り坂にあるように感じられるので、特段の問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点までまったく問題なく進展しているため、このままのテーマ、研究方法で進んでいくつもりである。しいていえば、マリアヴナン解析とよばれる確率微分方程式を調べるための無限次元解析の理論があるが、これをラフパス理論に持ち込むことの重要性を強く感じている。また人的交流に関して言えば,だんだんこの理論の研究もさかんになりつつあるので、ささやかでも海外の研究者の招聘、もしくは自分自身の海外出張などを行い、進展中のテーマなどについての情報交換に励みたい。
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Research Products
(4 results)