2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740061
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
稲浜 譲 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (80431998)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ラフパス理論 / 確率微分方程式 / マリアヴァン解析 / 大偏差原理 |
Research Abstract |
本年度は引き続きラフパス理論の解析的な側面についての研究をすすめた。昨年度までは確率微分方程式のアナロジーである通常のラフパス理論の枠組みの中で、マリアヴァン解析などを用いていろいろと計算をしたが、今年はラフパス理論の確率偏微分方程式への応用という分野に進出した。ラフ確率偏微分方程式と名乗るモデルはいくつかあるのだが、その中でもとくに最近注目を集めているハイラー理論である。理由は統計物理で現在注目を集めているKPZ方程式という未解決問題が、この枠組みを使って初めて解けたことによる。筆者はシルダー型の大偏差原理という極限定理をこの理論の枠組みにおいて証明することに成功した。この理論においてこのような解析的、確率論的な結果が証明されたのはおそらくこれが初めてだと思う。この路線を延長して、すでにいろいろ開発されているラフパス解析の手法をハイラー理論に持ち込んで、さらにいろいろな定理を証明しようと、現在努力している最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は通常のラフパス理論だけでなく、その変種であるラフ確率偏微分方程式の研究にも手を出して、シルダー型の大偏差原理を証明した。私に個人とっても新しく、世間的にも新しいとされるこの話題に関して、そこそこの内容の論文が書けたので、それなりに満足している。以上の理由により、研究の進展状況は悪くないと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に書いた論文は、さらにいろいろな副産物を生みそうな気配があるので、それを研究するのは当然だが、前に研究していた通常のラフパス理論にマリアヴァン解析を組み合わせるという路線も非常に有望に見えるので、この両面で研究を進めていきたい。
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Research Products
(6 results)