Research Abstract |
本年度は,最小cubature fomlula(以下,最小CFと称する)の近似点間の内積を調べることによりCFの幾何構造を特徴付け,さらに最小CFの非存在証明への応用可能性を模索した.具体的に,まずMusin氏(テキサス大),野崎氏(東北大)ら離散幾何の専門家のもとを訪れ,同分野で広く認識されているLarman-Rogers-Seidelの定理を意識しながら,次数4k+1の最小CFの内積構造について議論した.次数4k+1の最小CFの近似点は,原点を含めてk+1個の同心球面により被覆されることが知られている.この事実とMusin氏らとの議論を併せて,同次数の最小CFについて,ある同心球面上では近似点間の内積が常に有理数であることを示した.またこの結果を用いて,特殊な積分のクラスに対して次数13,17,21の最小CFが存在しないことを証明した.次数10以上の最小CFの非存在に言及する先行研究はほとんど知られていないことから,我々の新しい手法の意義と可能性を伺うことができるだろう.一連の成果は,国外・国内のセミナーや会議等において発表され,また野崎氏らとの共同論文として現在投稿中である.なお2次元の場合に限り,ガウス積分など古典的な積分のクラスに対して,任意の次数の最小CFの非存在を証明することに成功した(平尾氏(名大)との共著論文). 一方,次年度に向け,近似点の少ないCFの構成に関する研究も進めた:近似点の個数の理論的限界値を"1つ"上回るような4次元CFの構成(Zhou氏(名大)らとの共同論文),CFの組合せ論的生成法として知られる"Victoir法"において重要な役割を果たす組合せt-デザインの構成(Laue氏(バイロイト大)らとの共同論文など)などを行った.特にZhou氏らとの研究成果は,ユークリッドデザインというCFのクラスの存在性に関するNeumaier-Seidel予想の反例を与えたことから,関連分野において高い評価を得た.
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