2010 Fiscal Year Annual Research Report
離散可積分系による非衝突ランダムウォーク系の分配関数の計算
Project/Area Number |
22740063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上岡 修平 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70543297)
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Keywords | 非衝突ランダムウォーク / vicious walk / 非交叉経路 / グラフ / 直交多項式 / 連分数 / パデ近似 / 超離散可積分系 |
Research Abstract |
本研究ではグラフ上の非衝突ランダムウォーク系を扱い,最終目的はその統計解析で重要である分配関数の閉形式表示(積表示)が実際に計算できるグラフを,離散力学系の一種である離散可積分系と対応付けて系統的に構成することにある.この最終目的を達成するための準備段階として,離散可積分系に付随する直交関数系(双直交多項式,対称双直交多項式,ローラン双直交多項式,RI有理関数,RII有理関数)を取り上げ,各直交関数系に対して重み付きグラフとその上の径路を用いた組合せ論的な解析を行った.具体的には次の二点を達成した.(1)双直交および対称双直交多項式に対して,それらが満たす線形方程式(漸化式)およびそこに現れる半無限行列の帯構造から,特に半無限行列をグラフの隣接行列とみなすことにより,対応する重み付きグラフを構成した.また直交関係式の拡張公式として,グラフ上の径路を用いて記述される数え上げ公式を与えた.これらの結果はViennot(1983)による直交多項式の組合せ論的解釈,特に重み付きMotzkin路や重み付きDyck路等の重み付き格子路を用いた解析に対して,一つの系統的拡張法を与えるものである.(2)RIおよびRII有理関数については,それらに付随する多項式項連分数であるFrobenius-StickelbergerThiele(FST)連分数を取り上げ,特にその再帰構造に着目して対応する重み付きグラフを導出した.この結果はFlajolet(1980)によるStieltjes連分数の組合せ論的解釈,特に重み付きDyck路を用いた解析に対して一つの拡張を与えるものである.特にFlajoletの結果と比較して特徴的な点は,FST連分数に対応するグラフが閉路を含むところにある.なおローラン双直交多項式についてもThron連分数を用いた同様の解析が可能である.また可積分系理論に対する派生研究として次の点も達成した.(3)直交多項式に付随する可積分系である離散戸田方程式および超離散戸田方程式に対して,その初期値問題の解を重み付きDyck路等を用いて組合せ論的に構成した.
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Research Products
(7 results)