2011 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元力学系の分岐理論の構築とその結合振動子系への応用
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22740069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
千葉 逸人 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (70571793)
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Keywords | 無限次元力学系 / 蔵本モデル / スペクトル理論 |
Research Abstract |
本研究において、研究代表者は、一定のクラスの無限次元力学系、特に結合振動子系やシュレディンガー方程式を含むクラスの方程式の、解の安定性の理論を確立した。蔵本モデル、反応拡散系やシュレディンガー方程式に代表されるあるクラスの方程式は、方程式の線形部分を定義している線形作用素が連続スペクトルを持つため、その解の安定性を調べることは、従来の方法では困難であった。そこで研究代表者は、リグド-ヒルベルト空間を用いた超関数空間における線形作用素のスペクトル理論の一般論を確立し、この困難を解決することに成功した。すなわち、通常のヒルベルト空間ではスペクトル分解不可能な線形作用素が、リグド-ヒルベルト空間と呼ばれる空間の上ではスペクトル分解可能であることを示した。代表者はスペクトルの概念をリグド-ヒルベルト空簡へと一般化し、この一般化スペクトルが解の振舞いを決定することを証明した。これにより、本年度の目標であった、超関数空間における線形作用素の一般化スペクトル理論の確立は達成された。これに関する論文は現在投稿中である。蔵本モデル、反応拡散系やシュレディンガー方程式は、自然界で数多く観察される物理現象を説明するための最も代表的なモデルであり、物理や工学において頻繁に応用されている。したがって、これらの方程式の解の安定性理論を確立したことは、数学のみならずその周辺分野にも大きなインパクトを与えると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の目的であった、超関数空間における線形作用素のスペクトル理論の確立は、上記め通り達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今回得られた超関数空間における線形作用素のスペクトル理論を様々な反応拡散系やシュレディンガー方程式に応用していきたい。特に様々な偏微分方程式の構造の研究のために積極的に応用していきたい。
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