2011 Fiscal Year Annual Research Report
誤差項に非対称分布を仮定した円周上の確率過程の理論とその応用
Project/Area Number |
22740076
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
加藤 昇吾 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 助教 (60468535)
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Keywords | 統計数学 / 確率過程 / 円周上のデータ / 非対称分布 / 自己回帰過程 |
Research Abstract |
2年目にあたる平成23年度には「円周上の非対称確率分布の提案と自己回帰過程への応用」を行った。この研究は、実質2つの研究からなっている。まず1つ目の研究として、「(1)誤差分布のための円周上の非対称確率分布の提案」に取り組み、それから、「(2)誤差分布として(1)で提案した非対称分布を仮定した自己回帰過程の統計的性質の考察」をする、という流れで研究を行った。 まず、1つめの研究「(1)誤差分布のための円周上の非対称確率分布の提案」の結果について述べる。平成22年度に提案した自己回帰過程においては、誤差項に対称分布であるWrapped Cauchy分布(以下、WC分布)を仮定していた。この分布は2つのパラメータから成り、1つは位置を、他方は尺度を調節する役割をもつ。この分布を一般化した確率分布、具体的にはWC分布を特別の場合として含み、分布の歪度と裾を調節できる確率分布、の提案を行った。そして、その確率分布の統計的性質について議論した。これにより、非対称もしくは裾が重いデータに対しても満足な当てはめを期待できるモデルを与えることができた。 そして、次に「(2)誤差分布として(1)で提案した非対称分布を仮定した自己回帰過程の統計的性質の考察」を行った。特に重点的に調べたことは、誤差項にWC分布ではなく、(1)の研究で提案したよりflexibleな非対称確率分布を仮定することで、WC分布を仮定した平成22年度のモデルでは説明できなかったどのような挙動を示すことができるのか、という点である。そして、提案された自己回帰過程は、誤差分布が非対称となる性質により、既存のモデルは記述できなかった時系列におけるいくつかの現象を記述することが可能となることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書には、平成23年度には2つのテーマ、つまり、「(1)誤差分布のための円周上の非対称確率分布の提案」と「(2)誤差分布として(1)で提案した非対称分布を仮定した自己回帰過程の統計的性質の考察」、に取り組む予定であると記載した。そして、実際に上記2つの研究テーマに取り組み、計画通りに研究を進展させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までは当初の計画通りに研究が進展しているため、最終年度にあたる平成24年度も研究計画に従い、「提案したモデルの統計的性質の考察と気象データへの応用」について研究を行う予定である。現在のところ、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点は見当たらない。
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Research Products
(7 results)