2010 Fiscal Year Annual Research Report
一般確率論における相関の基礎研究と量子情報理論への応用
Project/Area Number |
22740079
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
木村 元 中央大学, 研究開発機構, 専任研究員 (80517011)
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Keywords | 量子情報理論 / 一般確率論 / (量子)相関 / 物理原理 |
Research Abstract |
本研究は,量子力学及び一般確率論を用いた相関の基礎研究,並びに量子情報理論または量子力学基礎論への応用を目指したものである.ここで一般確率論とは,古典確率論や量子確率論を包含する操作論的に最も一般的な確率論である.以下に,本年度の成果を説明する. 量子相関の研究として,非有界ハミルトニアンを生成子とする一般的な量子時間発展の下で,環境との古典相関と部分情報の関係を明らかにした.これにより,エネルギー期待値が有限となる現実的な設定では,部分系の純粋度の時間発展に(未知な)環境との相関の情報が隠されていることがわかる.さらに,部分系のエントロピー生成の安定性の必要十分条件を求めることに成功し,その応用としてQuantum Discordと呼ばれる量子相関の部分情報に基づく検知の方法を提案した.量子相関は,量子計算や量子テレポーテーション,また量子暗号など様々な量子情報処理の資源として期待されていることから,その存在を部分系から検知する方法は極めて重要となる。 一般確率論の研究では,理論の数学的整備を行い,一般確率論上の情報理論の構築を行うために,種々の状態識別測度を導入してその一般的性質を調べた.この応用として,量子論では有名な「状態複製不可能定理」や「情報取得による状態擾乱定理」を一般確率論において示すことに成功した.また,本研究の目的の一つである「量子力学の物理原理に基づく導出」に対して,純粋状態の物理的等価性などの原理を提案し,量子ビット系を物理原理から導出することに成功した(現在2本投稿中).これらは,本分野において広く評価されており.本年度の本研究目的を十分達成したものと考えられる.
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Research Products
(10 results)