2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポテンシャル付非線型分散型方程式の散乱及び逆散乱問題
Project/Area Number |
22740082
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々木 浩宣 千葉大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00568496)
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Keywords | 非線型シュレディンガー方程式 / 散乱問題 / 逆散乱問題 / 相互作用ポテンシャル |
Research Abstract |
今年度は、或る非線型シュレディンガー方程式の逆散乱問題と、場の量子論に関する或る線型クライン・ゴルドン方程式の散乱及び逆散乱問題について考察を行った。以下に詳細を記す。 A:過去に得られた「非線型シュレディンガー方程式に関する散乱の逆問題」の主結果を改良することが出来た。当該問題のテーマは「既知な散乱データを用いて未知な相互作用ポテンシャルVを同定する」ことである。昨年度までの状況は 1.FV(Vのフーリエ変換の意)のマクローリン係数を同定する。 2.マクローリン級数に基づいてFVが決まる。更に逆フーリエ変換によりVが一意に同定される。 なる流れでVが同定された。手順1が得られれば手順2は自明であるため、手順1が重要なステップとなる。昨年度の時点では、FVの各マクローリン係数を同定するためには、Vが軸対称であるという仮定と、2回の極限操作が必要とされた。これに対して今年度は、軸対称条件を外すことができ、更に極限操作の回数を1回に抑える手法を開発した。この事実は逆問題においては重要な成果である。なお得られた結果は査読付学術雑誌に投稿中である。 B:更に、量子場に関する線型クライン・ゴルドン方程式について、散乱の順問題と逆問題を考察した。 このモデルは、作用素値超関数を未知とする方程式である。昨年度に得られた結果を改良し、より一般の方程式についても結果を得ることが出来た。なお得られた結果は査読付学術雑誌Hokkaido Mathematical Journalに掲載決定済みである。
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