2011 Fiscal Year Annual Research Report
ポテンシャル付非線型分散型方程式の散乱及び逆散乱問題
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22740082
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐々木 浩宣 千葉大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00568496)
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Keywords | 非線型ディラック方程式 / 波動作用素 / 散乱作用素 / ストリッカーツ評価 / 重み付ソボレフ空間 / 解の漸近挙動 / 短距離散乱 / 減衰評価 |
Research Abstract |
今年度は主に、1次元非線型ディラック方程式の散乱問題を研究した。対象とした非線型項は冪乗型である。この場合、自由ディラック方程式の解(自由解)に対する減衰評価に基づき、漸近挙動に関する臨界指数は3であると推測できる。特に、指数が3より大きいときは、非線型方程式の解は時刻無限大において適当な自由解へ漸近することが予測される。この予想を解決することは、本研究に於いて重要な課題と言える。現在のところ、以下のような結果が得られた: (1)指数が5以上の場合、適当なソボレフ空間の0近傍上で散乱作用素が定義できる。(鍵となる道具:ストリッカーツ評価、ベゾフ空間、埋蔵定理) (2)指数が19/6より大きく5未満であるとき、或る重み付ソボレフ空間の0近傍上で散乱作用素が定義できる。(鍵となる道具:ストリッカーツ評価、ベゾフ空間、埋蔵定理、重み付ソボレフ空間と相性の良い線形作用素) (3)指数が3より大きく19/6以下であるとき、適当な重み付ソボレフ空間の0近傍上で波動作用素並びに逆波動作用素が定義できる。(鍵となる道具:(2)と同様であるが、より複雑である) 以上の結果を簡潔に述べると、「指数が3より大きいときは、適当なノルムを用いると、非線型ディラック方程式の解は時刻無限大に於いて適当な自由解に漸近する」となる。従って、上で記した予想の一部が解決されたことになる。なお得られた結果は、論文に纏め、査読付学術雑誌に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題のひとつである「非線型分散型方程式に於ける散乱作用素の存在定理」について、一定の結果を出すことができた為。研究課題のひとつである「Hartree方程式に於ける逆散乱問題」について、重要な結果を出すことができた為。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在までに取得している技法に、数理物理学的手法、線型方程式の高度な理論、並びに調和解析学の最先端理論等と融合させることで、より深い議論の構築を目指していく。
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Research Products
(3 results)