2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740085
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
甲斐 千舟 金沢大学, 数物科学系, 助教 (70506815)
|
Keywords | 対称錐 / 等質錐 / 凸錐 / 因果構造 / 順序同型 / 対称有界領域 |
Research Abstract |
対称有界領域のShilov境界の因果自己同型を決定した金行壮二氏は,その系として,affine対称錐の因果自己同型が線型であるという定理を得た.この結果に触発されて本研究では,対称錐よりも一般の錐における因果自己同型の線型性について考察した.いまの場合この問題は,錐における順序同型の線型性という問題に置き換えられる. 研究の結果,対称錐よりもはるかに一般の,正則凸錐の順序同型が線型であるという定理を得た.この結果について学術論文を準備中である. 研究を進める中で,関連する結果がいくつか存在することが判明した.例えばO.S.Rothausは,孤立したextreme rayをもたない正則凸錐に関して,同様の定理を得ている.またA.D.Alexandrovの定理では,本研究と同様に正則凸錐を扱っているものの,土台の空間はベクトル空間全体となっている.Rothausの結果では多面体を底面とする錐は除外されてしまうし,Alexandrovの証明方法は多少難解なところがあり,土台の空間を錐にした場合に拡張できるかどうかも,不明である.本研究で得られた定理は,これらの欠点を解消するものである. 本研究でかなり一般的な定理が得られたものの,これをさらに拡張して,錐全体ではなく「区間」の順序同型の線型性が証明できれば,開集合の順序同型の線型性が従うはずであり,定理の応用の範囲はさらに広がる.次年度はこのような方向も視野に入れて研究を進めていきたい.
|