2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22740085
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
甲斐 千舟 金沢大学, 数物科学系, 助教 (70506815)
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Keywords | 因果多様体 / 因果同型写像 / 正則凸錐 / 等質錐 / 対称錐 |
Research Abstract |
平成22年度に引き続き、因果多様体の因果自己同型写像について研究を行った。対称な因果多様体に関しては金行壮二氏などによる先行研究があるが、非対称な場合に関する結果はあまり多くない。我々の研究では、最も基本的な非対称因果多様体である正則開凸錐の場合について研究を進めた。まず、平成22年度の研究で得られた、「正則開凸錐の因果同型写像の線型性定理」の証明に一部誤りがあったため、議諭をより精密にすることによってそれを修正した。次に、この線聖性定理を、より局所的な因果同型写像に対して一般化すべく、研究を行った。これが成功すれば、金行壮二氏が証明した「対称錐に付随するアファイン対称錐の因果同型写像の線型性定理」を含む形まで我々の定理を一般化できることができるだけでなく、平坦な因果多様体のほとんど全てに対して、因果同型写像の線型性を導くことができるはずである。しかし実際には、対称錐のような特殊な因果多様体の場合には、このような拡張に対する反例が存在することがわかったため、もう少し違ったアプローチが必要であろうという感触を得た。また、そのような反例、すなわち線型でない因果同型写像は、存在したとしても非常に特別な形に限られるのではないかと考えられる。そして、このような非線型な因果同型写像の存在が、対称錐のような特殊な形の錐の特徴付けとなっている可能性もある。このような方向で、線型性定理の拡張に関する研究を推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正則開凸錐の因果同型写像の線型性定理を、より局所的な因果同型写像に拡張すべく研究を進めていたが、いくつかの反例があることがわかったので、研究の方向性を多少変更した。そのため、当初の計画よりは多少遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平坦な因果多様体であっても、局所的な因果同型写像は線型であるとは限らないが、そのような非線形な因果同型写像の存在が対称錐のような特殊な錐を特徴付けている可能性がある。そこで、このような方向も視野に入れて研究を推進したいと考えている。 また現在のところ、このような線型性定理は複素ではなく実の空間におけるものであるが、複素の空間への応用も探っていきたいと考えている。
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Research Products
(3 results)