2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形波動方程式の非線形項の幾何的構造と解の特異性
Project/Area Number |
22740088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津川 光太郎 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (70402451)
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Keywords | 関数方程式 / 非線形 / 分散型方程式 / 初期値問題 |
Research Abstract |
調和解析的手法を用いて非線形分散型方程式の初期値問題の適切性の問題を研究した。具体的には、以下の二つの方程式に関する研究を行った。 一つ目は、微分を含む二次の非線形項を持つシュレディンガー方程式がカップルしたシステムである。ここで扱う非線形項は一般には特異性が強すぎるため、ある意味非適切であることが知られている。しかし、線形部分の係数が異なるシュレディンガー方程式どうしがカップルした場合には非共鳴現象が起こることを利用して、時間局所適切性を示すことに成功した。非共鳴現象の強さは係数の関係によって異なる。このため適切性が得られる関数空間の滑らかさはそれぞれ異なる。いくつかの場合に対しては最適の結果を得ることに成功したが、残りの場合に対しては完全には未だ解決していない。この様なシステムの具体例として非線形光学の研究に現れるシステムがある。このシステムの場合にはエネルギー保存則が存在し、これを利用して時間大域的可解性も得ることが出来た。 二つ目はKdV方程式である。KdV方程式の初期値問題の適切性の研究は古くから沢山ある。しかし、これらは主に実軸上のソボレフ空間や周期的ソボレフ空間に初期値を持つ場合であった。準周期的な初期値を含むような初期値のクラスにおける適切性の研究はこれまで無かったと思われる。ここでは、新しいタイプの関数空間を導入することによって準周期的な関数を含むような初期値のクラスで適切性を得ることが出来た。
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