2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
砂川 秀明 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (80375394)
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Keywords | 波動方程式 / クライン・ゴルドン方程式 / シュレディンガー方程式 / 漸近解析 |
Research Abstract |
本年度行った研究内容は、1.クライン・ゴルドン方程式に関するもの、2.波動方程式に関するもの、3.シュレディンガー方程式に関するもの、の3種類に分類される。以下それぞれについて成果の概要をまとめる。 1.空間2次元において2次の非線形相互作用項を伴うクライン・ゴルドン方程式系に対する零条件の代数的な特徴付けを与え、零条件の下での解の時刻無限大における漸近自由性を証明した(片山聡一郎氏・小澤徹氏との共同研究)。また、その方法をディラック方程式とクライン・ゴルドン方程式の連立系に適用し、解の長時間挙動に関して従来知られていた結果よりも詳細な漸近形を求めることに成功した(池田正弘氏・下村明洋氏との共同研究)。 2.空間3次元における零条件を満たさない非線形波動方程式に関して、これまでに知られていなかった種類の長距離型非線形効果が現れるような例を構成した。より具体的には、系の全エネルギーは保存されるがある特定の成分のエネルギーだけは時間に関して減衰するといったものである。また、より一般の非線形波動方程式系の枠組みの中におけるこの例の位置づけについて考察を進めた。この成果は論文にまとめて専門誌に投稿される予定であり、現在その準備を進めている段階である(片山聡一郎氏・的場俊昭氏との共同研究)。 3.今年度後半から、非線形シュレディンガー方程式系における小さな初期データに対する解の有限時間爆発についての研究を開始した。現段階ではまとまった成果には至っていないが、非線形共鳴によって解が増幅されるような例は既にいくつか得られている。来年度はこの例の考察を推し進めて爆発解の例を構成することから出発し、この研究を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質量共鳴下における非線形クライン・ゴルドン方程式系に対する零構造の特徴づけと時刻無限大における解の漸近挙動について成果を得、当該研究の目的が順調に達成されつつあると判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、非線形シュレディンガー方程式系における小さな初期データに対する解の有限時間爆発についての研究を継続する。また、空間2次元において2次の非線形相互作用項を伴うシュレディンガー方程式系に対する零構造を特徴づけ、質量共鳴との関係を明らかにすることを目標とする。より具体的には、クライン・ゴルドン方程式系の場合に小澤徹氏・片山聡一郎氏との共同研究によって今年度得られた結果の、シュレディンガー方程式系における類似物を確立することを目指す。零条件を満たさない非線形波動方程式系の解の長時間挙動に関しても研究を継続する予定である。
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Research Products
(5 results)