2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740097
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
吉川 周二 宇部工業高等専門学校, 理工学研究科, 准教授 (80435461)
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Keywords | 非線形偏微分方程式 / 熱弾性 / 塑性 / 相転移 / 形状記憶合金 |
Research Abstract |
平成22年度は、形状記憶合金の高温相での弾性挙動を表現する擬弾性の方程式について研究を行った。Falkの形状記憶合金モデルの高定数温度での方程式に摩擦項を加えた消散型梁方程式が考察の対象である。この方程式の初期値境界値問題についてはRacke-Shangによる大域的アトラクターの存在などの結果が知られている。本研究では、この方程式の極限形である極限不安定型方程式の初期値問題について考察した。極限不安定化することでエネルギーの非負値性が保証されなくなるため、古典的なエネルギー法は利用できないことに注意する。そこで1次元の方程弐についてよく知られた周波数分解の方法に加えて、振動積分を使うことで線形化方程式のより詳細な情報を含んだ線形評価を求め、この評価を用いて非線形問題の可解性と漸近形について調べた。 次に、一次元消散型梁方程式が加速度付き極限不安定Cahn-Hilliard方程式とよく似た形であることに着目し、まずはスカラー場に対する方程式である空間多次元の加速度付き極限不安定Cahn-Hilliard方程式の可解性および漸近形について調査した。また、より高い次数の漸近展開を考えることによって解への非線形項の効果も確認した。この結果を応用することでベクトル場に対する多次元消散型四階弾性方程式系の研究を始め可解性は同様の結果が得られたが、漸近形については部分的な結果を得るに留まった。 この研究の目的は、ここで得られた結果を利用して、多次元Falk-Konopkaモデルに対する取り扱いに拡張することであり、平成23年度も引き続きこの方向から研究を進める予定である。なお本研究は東北大学の竹田寛志氏との共同研究である。
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