2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740100
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野邊 厚 千葉大学, 教育学部, 准教授 (80397728)
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Keywords | 解析学 / 関数方程式論 / 数理物理学 / 可積分系 / 楕円曲面 |
Research Abstract |
本年度は主に次の研究を行った.1)レベル3テータ関数の満たす加法公式に超離散化の手法を適用し,トロピカルHesse曲線上の点の満たす加法公式を導出した.この導出過程において,テータ関数のパラメータおよび独立変数をうまくとることにより,Hesseの3次曲線の実部の超離散極限としてトロピカルHesse曲線が得られることを示した.また,Hesseの3次曲線のJacobi多様体の部分多様体が,超離散極限において,トロピカルHesse曲線のJacobi多様体に収束することを示した.さらに,トロピカルHesse曲線の加法公式を用いて可積分な2次元区分線形写像力学系を構成した.2)Hesseの3次曲線のペンシルに線形自己同型として作用するHessian群のトロピカル類似を構成した.すなわち,トロピカルHesse曲線のペンシルに作用する線形自己同型群が3次の二面体群であることを示した.この群は,位数3の群(ペンシルの各曲線の3-torsion pointの群)と位数2の群(各曲線上の点の入れ替えとして実現される群)との半直積に分解され,したがってペンシルのパラメータを保存する。これはHessian群がペンシルのパラメータを保存しない事実と対照的である。このようなペンシルの自己同型群の導出においても,レベル3テータ関数を用いて変曲点の超離散極限を具体的に求めることが重要な役割を果たした.3)解曲線が凹9角形でありかつ任意の初期値に対して周期9をもつ2次元区分線形写像力学系(Brown写像)のトロピカル幾何学的意味づけを行い,Brown写像は線対称なトロピカル楕円曲線上の加法の組合せに分解できることを示した.この事実からBrown写像は対応するトロピカルJacobi多様体上で線形化されることがしたがう.
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Research Products
(7 results)