2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740103
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柘植 直樹 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30449897)
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Keywords | 半導体の方程式 / 解の存在 / 解の一意性 / 流体力学 |
Research Abstract |
本年度は、半導体中の電子と正孔の運動を表す、半導体の流体力学モデルの1次元の定常問題を研究した。 電子(もしくは正孔)のみの運動を考えた場合(ユニポーラー)は、数学的な結果がいくつか知られている。しかしながら、両方の運動を考えた場合(バイポーラー)の数学的な結果は少ない。さらに、それらの結果も、工学的な状況とは、かけ離れた条件が課されている。 通常、1次元の半導体のシミュレーションをする場合、境界条件はオーミック接触を表すディリクレ境界条件を課す。さらに、定常解の形状を決定する場合に重要な働きをするドーピングプロファイルは、十分大きな値をとる。ここで、ドーピングプロファイルとは、半導体中に固定されたイオンである。これらの状況を満たした上で、境界における電位が十分小さいという制限のみで、古典解の存在と一意性を示した。実際の半導体においては、電位は十分小さいため、この制限は実際の半導体とかけ離れたものではない。 数学的には、非線形楕円型の連立方程式を考えることになる。問題となるのは、存在および一意性両方において、電子密度と正孔密度の上と下からの評価である。この評価が、ユニポーラーの場合と比べて、格段に難しくなるのである。解決策は、電子と正孔の密度にある適当な関数を掛け、それらの値に対して、最大値原理を適用することである。 最後に、本結果はNonlinear Analysisに掲載されており、日本応用力学講演会と、数理解析研究所の研究集会「流体と気体の数学解析」および「現象の数理解析に向けた非線形発展方程式とその周辺」において発表された。
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Research Products
(5 results)