2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740103
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柘植 直樹 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30449897)
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Keywords | 流体力学 / 圧縮性オイラー方程式 / ラバール管 / 時間大域解の存在 / 保存則 / 不変領域 / 偏微分方程式 / 超音速流 |
Research Abstract |
本年度は、ラバール管と呼ばれる狭まり広がりの形状をしたノズルを考えた。亜音速(音速より小さい速度)の気体は、ラバール管を通すことによって、超音速(音速より大きな速度)の気体に加速する事ができる。この性質のため、ラバール管は、超音速で飛行するロケットやジェット機にとって不可欠である。また、オーロラの原因となる太陽風の運動は、ラバール管内を流れる気体の運動と密接に関連がある。 これらの運動は、圧縮性オイラー方程式によって記述される。この方程式に対しては、時間大域解の存在に関して、古典的な結果が知られている。しかしながら、その結果の初期値は、音速の値から十分離れており、かつ定数に十分小さいものに限られる。 一方、気体がラバール管によって加速されるとき、スロートと呼ばれる最も断面積の小さい所で、気体は音速になる。また、気体は亜音速から超音速まで大きく変化する。したがって、ラバール管の存在意義と言っても過言ではないこの現象を、数学的にはまだ捉えられていないのである。 以上の問題を踏まえて、本年度はラバール管内の気体の運動を表す圧縮性オイラー方程式を考え、音速付近の値を含む大きな値の初期値に対して、時間大域解の存在を示した。このとき、問題となるのは、解の有界評価である。これが今まで最大の問題とされてきた。本研究では、この問題を、不変領域を用いる事で解決している。既存の不変領域と異なり、空間変数に依存する不変領域を考える事が問題解決の鍵となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であった、ラバール管内を流れる気体の運動を表す方程式の、時間大域解の存在を示す事ができたため。また、不変領域に関して新たな知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、より一般のノズルを考えて、内部流を表す方程式の時間大域解の存在を示したい。また、今年度の研究とこの研究において、解の有界評価を得るとき、不変領域が重要な役割を果たす。これらの研究から得られ準知見を踏まえて、ノズル流を含むより一般の方程式に対して、不変領域の研究を行いたい。
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Research Products
(2 results)