2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22740111
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山崎 玲 (井上 玲) 千葉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (30431901)
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Keywords | 可積分系 / クラスター代数 / トロピカル幾何 / 差分方程式 / セルオートマトン |
Research Abstract |
本年度は箱玉系の対称性について次の成果を得た。 箱玉系は、クリスタル(量子群の組み合わせ的極限)とトロピカル幾何(組合せ的代数幾何)という、出自の全く異なる組合せ的な理論に関係する可積分なセルオートマトンで、本研究の一つの鍵と考えられているモデルである。クリスタルによる箱玉系の対称性の研究はほぼ完成しており、次は箱玉系の一般解に関する(クリスタルから得られた)結果がトロピカル幾何でどのように記述されるかが問題であった。 本年度はまずJ. Phys. Aに依頼されたreview論文"Integrable structure of box-ball systems: crystal, Bethe ansatz, ultradiscretization and tropical geometry"と数理物理Summer school(8月に東京大学で開催)の講演予稿をまとめることにより、既知の結果を整理するとともに問題の明確化を行った。そしてSummer schoolの中で予想「周期箱玉系の一般等位集合を与える高次元実トーラスがあるトロピカル曲線のトロピカルヤコビ多様体である」を与えた。その後、岩尾氏との共同研究によってこの予想を証明し論文にまとめた。より詳しくは以下の手順による:無限箱玉系(境界が無い系)の時間発展方程式が離散KdV方程式の超離散化で書ける、という事実を周期系の場合にも定式化する。離散周期KdV方程式のスペクトル曲線をトロピカル化してトロピカル曲線の族を構成する。箱玉系の従属変数が2状態しかとらないことを取り入れて曲線族の特殊化を行う。 また、3月にBonnのHIM研究所に滞在して上の結果を発表し、さらにトロピカル幾何の応用に関して関連分野の専門家と議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
箱玉系のスペクトル曲線が得られる仕組みは分かったが、その非可換化の手掛かりはまだ見えていない。差分方程式の良い非可換化の構成は本研究で最も非自明な部分なのでこの点の難航は予想されていた。
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Strategy for Future Research Activity |
クラスター代数の自然な非可換化(量子化)が、差分方程式の非可換化の手掛かりとなる可能性があると考えており、ひき続きこの方向を考察する予定である。また、完全可積分な差分方程式がクラスター代数で記述されるとき、クラスター代数の言葉で書かれる解と代数幾何的な議論で得られる解との関係を調べ、代数幾何のほうからも非可換化も検討したいと考えている。
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Research Products
(5 results)