2011 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散走化性系の解が呈する蜂の巣構造と空間異方の与える影響
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22740112
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大崎 浩一 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (40353320)
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Keywords | 非線形現象 / パターン形成 / 反応拡散方程式 / 走化性 |
Research Abstract |
走化性系のうちでも,本研究では三村昌泰教授・辻川亨教授の提案した走化性・増殖系を扱っている.この走化性・増殖系は,増殖項が2次以上の減衰を有する場合,一般次元の場合でも爆発ならびに走化性崩壊を起こさないことが,これまでの研究代表者等の研究やWinkler氏による研究で証明されている.Winkler氏とは,一般次元の場合のアトラクター集合の存在可能性について,コンタクトを取りつつ議論しており,来年度以降,成果としてまとめていく予定である. 今年度の研究では,次元がN=1ならびに2の場合におけるパターン形成について研究を行った.N=2の場合,これまで八木厚志教授等の研究グループによって数値的に正六角形パターンが発生することが報告されていたが,これを中心多様体理論による分岐解析によって,正六角形パターンが安定となるパラメータ領域が存在し,その際横断的に定数定常解からこれが分岐するということを示した.これは奥田孝志氏との共同研究によって行った.また,奥田氏とは,N=1の場合における振動パターンの発生について,これが3つのモードの相互作用によって起こりうることも示し,京都大学数理解析研究所における研究集会ならびに講究録において報告を行った.さらには,この話題に関して,雑誌「応用数理」において概説を行った.これまでの走化性・増殖系の研究成果と今後の課題に関しても,研究集会「放物型方程式とその応用」において口頭発表を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
走化性・増殖系に関する空間2次元の弱減衰の場合における解の存在については,昨年度査読付き学術論文ならびに学会発表において公表済みであり,空間3次元の場合は,今年度計算を行うことができ,現在論文の形にまとめている.空間異方の作用によるパターン形成については,ハニカム構造の断面パターンの発生は第1分岐では起こりにくいということが分かり,現在走熱性の作用との関連を調べている段階である.
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Strategy for Future Research Activity |
空間3次元の弱減衰の場合における解の存在については,次年度中に学会発表をし,また,論文を投稿の予定である.これは引き続き中口悦史先生の協力の下で行う.さらにアトラクター集合が構成できるかどうかについては,M.Winkler氏とコンタクトを取りつつ進める予定である.ハニカム構造の断面パターンの発生については,領域サイズに変更を加えるなどして数値的には構成できたが,それをどのような作用として方程式に取り込むかが今後の課題である.可能性としては,上述のように一つは空間異方の作用であり,もう一つは別の走性(走熱性)である.この2つに絞り,今後考察を行っていく.
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Research Products
(7 results)