2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形結合振動子系の引き込み現象と時間遅れの影響に関する研究
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22740114
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
江上 親宏 沼津工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (90413781)
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Keywords | 結合振動子系 / 引き込み現象 / 時間遅れ / 数理生物学 / 周期解 / Hopf分岐 / 写像度 |
Research Abstract |
本研究では、結合したリミットサイクル振動子系の引き込み現象と時間遅れ導入に関する影響の解析に向けて、写像度理論を用いた新しい手法の確立を目的とする。当該研究では、主にBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応系とvan der Pol型方程式系を解析の対象としており、安定周期解の存在問題に対して単に数学的証明を与えるだけでなく、数学解析の結果得られる興味深い現象を実際の観測データとして取得するための実験系構築も研究工程に組み入れている。 1.BZ反応系(Oregonator)では、パラメータに1つにある周期で小さな摂動を加えた場合、正値周期解が強制引き込みを起こすことが数値計算の結果分かっている。この現象に解析的証明を与える第一段階として、自励BZ反応系に対して中心多様体理論を適用してHopf分岐がSupercriticalになるための条件に見当をつけた。また第二段階で、周期的な外部摂動を入れた非自励BZ反応系に対して大域的なCoincidence degreeの値を計算し、周期解の存在を証明するところまで研究は進展した。次年度は、位相縮約法により縮約方程式を導出して、安定解と不安定解の存在を示す段階に入る。 2.上の強制引き込み現象を観測するために、反応溶液の1つを一定速度で送り込みながらORPの時間変化を計測する実験系を試作し、溶液の種類、濃度、流速を変えながら適当な実験条件の模索に取り組んでいる。 3.Delayed Coupling termsを持つvan der Pol型N結合振動子系のLimit cycle存在問題に対して、任意の時間遅れに対応できるように、形式的に全ての対角成分の時間遅れが1となる補助方程式を導いた。今後、この方程式に対して非対角遅れの効果を無視できるような条件を見つけ、S1-equivariant compact mappingの不動点として解を構成し、ホモトピー不変性を用いてS1-degreeを計算する段階へ進む。 4.上記以外に、関連する数理生物モデルの研究成果について、数件の学会発表を行った。
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