2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740123
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長島 雅裕 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20342628)
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Keywords | 宇宙物理 / 理論天文 / 銀河形成 / 重元素 / 宇宙進化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、銀河の形成・進化の解析をもとに、宇宙における重元素生成史を理解することである。 現在の宇宙では、バリオンの約2%(質量比)が、ビッグバン元素合成では生成されない炭素や酸素などの重元素である。全体に比してわずかな量であるが、この重元素なしには惑星も生命も存在できないため、我々の宇宙を理解する上で重元素量の進化を理解することは極めて重要である。また、銀河の観測量としても、重元素により合成されるダストにより主に短波長の光が隠されるため、銀河の色が変化し、観測量を理解する上でも重元素量の進化を理解することは重要である。 本研究においては、申請者が開発を進めてきた銀河形成の準解析的モデルを用い、重元素量の進化に関する計算を実行し、観測と比較することで、重元素の生成史の一端を明らかにする。 本年度においては、低質量銀河における重元素量を測定するために重要なDamped Lyα systemを理解するために重要な中性水素の量でサンプルされたカタログとの比較を行い、我々のモデルが信頼に足るものであることを検証した。また現在の宇宙での中性水素を含む銀河が高赤方偏移宇宙でのDamped Lyα systemに相当する性質を持つことがわかった。また、高赤方偏移宇宙で重要な銀河種族であるLyα輝線天体の観測から、我々のモデルを用いてどのようなことが言えるのかについて調べた。いくつかの時代ごとにLyα輝線天体の個数分布を調べ、モデルと比較した結果、赤方偏移z=7の頃にはまだ宇宙の再電離が完了していないことが示唆された。
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Research Products
(3 results)