2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22740127
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
水野 範和 国立天文台, ALMA推進室, 准教授 (20372526)
|
Keywords | サブミリ波 / 分子雲 / 星形成 / マゼラン銀河 / 近傍銀河 |
Research Abstract |
多数の超新星爆発等によって形成された膨張シェルは周囲の低密度ガスを圧縮、誘発的に星、分子雲を形成すると考えられている。大マゼラン雲(LMC)には、スーパージャイアントシェル(SGSs)と呼ばれる1kpcを超えるシェル構造が同定されており、銀河全体の大質量星や星団、巨大分子雲の形成効率や銀河の構造にも大きく寄与していることが観測的にも示唆されてきた。今回、我々はLMCでも最大のSGSL MC4に付随したHII領域N48,49に着目した。この領域は、2つのSGS LMC4,5に挟まれた領域であり、二つのシェルの衝突によって、効率的に巨大分子雲や大質量星形成が誘発されている可能性もあり、30 Doradus(LMC2,3が衝突)の形成起源の理解にも繋がる興味深い領域である。この領域に対して、ASTE望遠鏡によるCO,13CO(3-2)輝線による高分解能観測を実施した。衝突領域に付随していると思われる複数の高密度ガス塊は、高いCO(3-2/1-0)比を示し、SPITZER望遠鏡で検出された複数の若い天体(YSO)の付随も確認され、シェルの衝突による誘発的星形成の現場を初めて捉えたといえ、投稿論文としてまとめている。一方、様々な形態・性質をもつ銀河に対する分子ガスのサーベイ観測は、大局的な銀河スケールでの星形成、分子ガスの性質を統計的に研究する上で大変重要である。NANTEN2望遠鏡を用いたCO(1-0)による近傍銀河のサーベイ観測をさらにすすめ、31個の銀河について中心の一点観測を行い、18個の銀河でCOを検出、うち13個については初検出であった。開発面では、サブミリ波帯でのミラーの反射効率測定を150GHzから900GHzまで実施した。特に、鏡面の面精度、素材、金めっき等の鏡面処理が、ロス等にどのような影響があるかも調査し、高い周波数では、オーミックロスの影響が無視できないことや純金めっきの重要性を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALMAのcycleOの観測時間を獲得することはできなかったが、ASTE,NANTEN2の観測は順当にすすんでおり、Mopra 22m鏡によるN48/49領域の観測時間も確保した。
|
Strategy for Future Research Activity |
巨大分子雲中で星団がどのように形成され、進化していくのかを理解することは、銀河全体の星形成率を何がコントロールしているのか、さらには宇宙の星形成率の歴史という問題に対する理解にもつながり、天文学上、大変重要である。最終年度は、これまで得られた観測データをもとに、大局的な星形成則を局所的な星形成の物理過程として理解する試みをマゼラン銀河について実施する。また、銀河系やその他の近傍銀河とも星形成則を比較、何が銀河全体の星形成率を支配しているのか、銀河のタイプや環境との関係を定量化し、これを遠方の銀河にフィードバックし、銀河進化の研究へ貢献することを目指すとともに、ALMAの観測時間の獲得を目指す。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] A Detailed Study of the Molecular and Atomic Gas toward the γ-Ray Supernova Remnant RX J1713.7-3946 : Spatial TeV γ-Ray and Interstellar Medium Gas Correspondence2012
Author(s)
Fukui, Y., Sano, H., Sato, J., Torii, K., Horachi, H., Hayakawa, T., McClure-Griffiths, N.M., Rowell, G., Inoue, T., Inutsuka, S.m Kawamura, A., Yamamoto, H., Okuda, T., Mizuno, N., Onishi, T., Mizuno, A., Ogawa, H.
-
Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 746
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] The CO-to-H2 Conversion Factor from Infrared Dust Emission across the Local Group2011
Author(s)
Leroy, A.K., Bolatto, A., Gordon, K., Sandstrom, K., Gratier, P., Rosolowsky, E., Engelbracht, C.W., Mizuno, N., Corbelli, E., Fukui, Y., Kawamura, A.
-
Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 737
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Molecular Clouds in the Trifid Nebula M20 : Possible Evidence for a Cloud-Cloud Collision in Triggering the Formation of the First Generation Stars2011
Author(s)
Torii, K., Enokiya, R., Sano, H., Yoshiike, S., Hanaoka, N., Ohama, A., Furukawa, N., Dawson, J.R., Moribe, N., Oishi, K., Nakashima, Y., Okuda, T., Yamamoto, H.; Kawamura, A., Mizuno, N., Maezawa, H., Onishi, T., Mizuno, A., Fukui, Y.
-
Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 738
DOI
Peer Reviewed
-
-