2010 Fiscal Year Annual Research Report
SCO X-1からの重力波の重力波-X線望遠鏡を用いたマルチーメッセンジャー観測
Project/Area Number |
22740128
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
端山 和大 国立天文台, 重力波プロジェクト推進室, 研究員 (70570646)
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Keywords | マルチメッセンジャー観測 / 重力波 / X線天文学 / SCO X-1 / LIGO / RXTE |
Research Abstract |
22年度は重力波源の有力候補である低質量X線連星Sco X-1からの重力波を探査するデータ解析パイプラインを構築し、データ解析を行った。本研究では主に、今まで行われてこなかったバースト性重力波の検出である。モデルとして、蓄積された伴星からの降着ガスによって外殻が崩壊した際に生じる星震で生じるバースト性重力波などがある。重力波の放出にはX線等が伴うことに着目して、アメリカの重力波望遠鏡LIGOとNASAの高時間解像度を持つX線望遠鏡RXTEのデータを用いたコインシデンス解析を行った。本研究では重力波の初検出およびモデルの観測的な制限をつける事を目標とする。 解析パイプラインはRXTEデータ用とLIGOデータ用の大きく2つに分かれる。RXTEデータはバースト性信号の検出に標準的に用いられている、時間周波数空間上でエネルギーが閾値よりも高い領域を検出するExcess power methodを用いた。LIGOデータは複数の重力波望遠鏡のデータをSco X-1の方向に最適な検出効率になるように結合するソーストラッキング手法を開発した。RXTEデータからのイベント候補リストとLIGOデータからのイベント候補リストを用いてコインシデンス解析を行い、重力波イベント候補リストを作成した。開発したパイプラインの性能は人工的に作った重力波信号、X線信号を両データにソフトウェアインジェクションして解析シミュレーションを行って検出効率を評価し、期待する性能が出ている事を確認した。 4月1日から5月17日までと、8月18日から12月1日まで、ドイツのハノーファにあるマックスプランク研究所でRXTEのデータ解析を行っている研究者と共同研究を行った。
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